猫を起こさないように
艦これ
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ゲーム「艦隊これくしょん」感想

 FUNK LOVE(ファン倶楽部)! 小鳥猊下であるッ! 貴様ら、コミケを直前に控えた猛暑の最中、いかがお過ごしでしょうか? アー・ユー・バイイング・マイ・ファンジン? 少女保護特区効果により、いまやガイジンどもの聖地巡礼が耐えぬ四神相応の地に鎮座する小生だが、昨日全国を駆け巡った大地震の予報にも関わらず、貴様らから身を案ずる声は絶無であった!

 ネット上で小鳥猊下へ言及を行ったものへの自動発番により肥大し続けてきたnWoファン倶楽部の面々は、いったい何をしておったのか! 奈良県沿岸部在住の小生は、暗峠(くらがりとうげ)を越えて迫る大津波をサーフボード一枚で乗りこなし、あの巨大地震を命冥加に生き延びたことだけ報告しておく!

 ところで急激に話題の舵を切るが(唐突な比喩だ!)、最近ドはまりしているものがある。ちょっと手をつけてからしばらく放っておいたのだが、今ではこんなに面白いものがあったのか、これが無ければもう日も夜も呉れぬ(おっと、誤変換失礼!)という感じだ。

 戦争の悲惨を極めた場所へ身を置きながら不服の一言さえ漏らさず、日の終りのわずかな補給だけを楽しみにして、生きて戻れぬかもしれない過酷な命令に日々従事する、あのけなげさ。そして、ボーキサイトを溶かして自作した申し訳の装備を肌身離さず持ち続けるいじらしさ、豊食の日本人が永く忘れていたその清貧と愛らしさに、待ち受ける過酷な運命から逃れさせることはできないまでも、私はそっと背中から抱きしめ、暖めてやりたいような気持ちにさせられる。

 だから私は、少しでも生存率が上がるように、少しでも多くが故郷へ帰れるように神へ祈るのだ、「キラキラしねえか、キラキラしねえか!」と……!!

 さて、もうわかったと思う。いま大人気のアレだ。正解がわかった君は、web拍手などの匿名メッセージで構わないから、こっそりと私に耳打ちして欲しい。もちろん、商品名の一文字を丸の中に入れさせるくらいの簡単なクイズなので、正解者は多数になることが予想される。

 その中から抽選で一名に、nWoの今後に関わる重大な権利を譲渡しようと思う。今度こそ、ファン倶楽部(FUNK LOVE)のみんなの積極的な参加を期待しているゾ!

 うむ? 「やって」る? 「艦コレ」? なにソレ? 貴様らおたくとは、どうも話が噛み合わんな。いま大人気のアレと言えば、ソルジェニーツィン先生の「イワン・デニソーヴィチの一日」に決まっておろうが!

 戦争の悲惨を極めたラーゲリでアルミ(ボーキサイト)を溶かして自作したスプーン一本を脚絆に忍ばせ、わずかの粥と野菜汁を楽しみに酷寒(マローズ)の中での屋外作業をやり過ごす日々。「この野菜汁の一杯こそ、今の彼には、自由そのものよりも、これまでの生涯よりも、いや、これからの人生よりも、はるかに貴重なのだ」の一文にキュン死しない社畜はいないと断言できる。これだけであと十年は社に飼い殺されることができる勢いだ。

 もちろん、「キラキラしねえか、キラキラしねえか!」の台詞は、作業免除になる大吹雪(ブラーン)の到来を知らせる粉雪を祈願してのものに他ならない。「閏年のために、三日のおまけがついたのだ……」を超えるシニックを私は寡聞にして知らないが、貴様らはそうじゃないのか?

 そしてドストエフスキー以降のロシア文学のお約束とも言える、キリスト教徒からの神の愛に関する説法を黙って聞いたあげく、ビスケットを一枚あげちゃうんだぜ? しかも「腹の皮がさけるほど飲む」飽食の本邦とは違って、生きるためにギリギリのカロリーをしか与えられないラーゲリでのできごとなんだ!

 ああ、ワーニャかわいいよワーニャ!

 @nobody やっぱり! ぼくもなんかすでに死んだ人の追憶をたどる気持ちにさせられます! アリョーシュカはやっぱり死んだんだろうな、微笑みながら死んだんだろうな、とか。

 @nobody おしい! 「収容所群島」じゃなくて、初期作品の方です!

 @nobody す、すいません、うちの祖父はなんか兵役免除だったみたいで……すいません、こんな末裔が生きてて、今の繁栄を享受してて、本当にすいません……!!

アニメ「艦これ1話」感想

 わたしはいま、巨大化した曙さんの足裏と床のあいだにいます。わたしは自閉症なので、胸部を圧迫されることにつよい安堵をおぼえました。本棚と床の隙間からは、きのう轟沈したはずのまるゆさんがうらめしそうにわたしを見ています。魚雷で大破した頭蓋から、脳漿がまざってドロリとした赤い液体が床を流れてきました。まるゆさんの両目は樹木のうろのようで、わたしはひどくこわくなりました。ドロリとした赤い液体がわたしのほおにふれ、わたしは気を失いました。

 目をさますと部屋は真っくらになっていて、曙さんもまるゆさんもいなくなっていました。身体を起こそうとすると、ほおがフローリングの床にはりついているのがわかりました。つけっぱなしのモニターが暗やみにちかちかと明滅しており、なにやらパン助のあげるようなあで声が聞こえてきます。えいと声をだすと、べりりと床からほおをひきはがしました。床はいちめん赤かったのですが、わたしの顔があった部分だけ木目が見えていました。ほおをさすりながらモニターへ目をやると、大小さまざまの女性が水面をアイススケートのようにすべっていました。奇形的なまでに大小さまざまで、股下すぐから両足を露出しているというところだけが共通していました。あと一センチ丈をつめればぜんいんのオソソが露出しそうなほどで、年来のガイノフォビアがまたぶりかえすような気がしました。画面からはイズミヤでかかってるみたいな音楽がずっと流れており、女性たちの会話は「パンぱカパン」「こコはユズレませン」などまったくかみあっておらず、ああ、彼女たちも自閉症なんだな、と思いました。

 いつのまにかだれもいなかったわたしの部屋は人でいっぱいになっていました。さいしょはみんな気まずそうに黙っていたのですが、大御所ふうの漫画家のような見かけをした人影がすっくと立ち上がり、「カンコレヨキカナ!」と声を裏がえらせて絶叫しました。するとホッとしたような空気がまわりに流れて、「フツウニリョウサク」「オレハジュウブンタノシメタ」などのつぶやきが聞こえはじめました。画面に視線をもどすと棒立ちの黒い人物を女性たちがとりかこんで射撃の的にしており、どう目をすがめてもわたしには気のくるった出しものにしか見えず、染色体のすくない我が子をくちぐちにほめたたえる学芸会の保護者席に混じった子無しみたいな気持ちになりました。

 すると、だんだん頭がグラグラしてきて、わたしはまた気をうしないました。目を覚ますと、わたしは巨大化した曙さんの足裏と床のあいだにいました。天井と本棚の隙間からは頭蓋を大破させたまるゆさんがニコニコとわたしを見下ろしています。わたしは自分の気がくるっていなかったことがわかり、胸部を圧迫される安堵とあいまって、眠るような心もちになりました。