世界はあまりに膨大になりすぎたため、ただの羅針盤にさえ重大な意味がある。

愛のうた


バグダッド・カフェ

刺青師が最後に言う"too much harmony."から、ミュージカルと求婚の場面は本来存在しなかったのではないかと推測する。この二場面が無ければ、同性愛の暗喩はより濃く浮かび上がり、代償として当時の視聴者の多くを失ってさえ、時空を越える「完全な映画」となれた。最後にイエスと言わせなかったのが、製作側の抵抗か。未見の人は主人公が黒電話を置いた時点で視聴をやめ、次の日に続きを見てみよう。
ツォツィ

ちがう! トッツィーじゃないんだ! したり顔で「ああ、ダスティ・ホフマンね」とか言うな! 俺の発音が悪いのか! ぜんぶ、俺のせいか!
思考の補助線

帽子をとります。そして、私も情熱を燃やします。
イノセント・ボイス

こういうテーマを扱う作品が増えてきたことによって、描かれる切実さを越え、視聴者が受け止める内容に映画批評的視点が混入せざるを得ないことが最も残酷なのではないか。
ソウ4

「いかに人を殺すか」に特化したミステリーの衰退理由が、1から通しで見るとよくわかると思った。1は傑作ですよ!
プラネット・テラー

筋書きの辻褄を合わせることや細部の整合性にこだわることが奪ってしまう「何か」で満ちている。ヒロインはヒロインだからこそ強く、憎いアイツが肉ごと爆ぜれば気分爽快だ。それ以外に必要なものなんてなかったはず。
ザ・シンプソンズ MOVIE

5本指の白い肌をした人々が4本指の黄色い肌をした人々についてのアニメを製作するという構図は、すごく秀逸だよね! え、吹き替え問題? 字幕が読めないほど識字に問題があるなら、英語音声を聞けばいいじゃないの。
グッドナイト&グッドラック

メディアの暴力が言われるのは、集権的な個人が存在できなくなったゆえか。魔王を持たない勇者か、勇者を持たない魔王か、本来向かうべき対象を失ったその一撃がかすめれば、当初の意図が何であれ町人は即死である。
インランド・エンパイア

我々の認識力は完全とは遠い。我々は断片の意味を符号させることで世界を把握する。断片の意味が符号しているにも関わらず世界が形成されないとき、崩壊しているのはいったい何か。インランド・エンパイア、それは内なる神聖の宮……とだけ書いて終わろうと思ってたらラスト近辺、日本人の英語で急速に萎えた。奈江だけに。どっぷり浸ってたのに、ひどいや。
リバーズ・エッジ

百年の傑作が十年で絶版になる社会だからこそ、この作品がカウンターとしての力を発揮し、マイノリティたちのハートを打つ。まるで――いや、言うまい。
ディセント

後半の展開に空いた口がふさがらないが、前半の展開はトム・ソーヤーの冒険にトラウマを持つ私のインジャン・ジョーをいきりたたせたのです。「洞窟もの」は心理学と親和性が高いので、女子の前で薀蓄垂れたい向きにもバッチリさ! 片っ端から女性器か陰茎の象徴だと指摘すれば、ほとんど間違ってないぜ!
息子の部屋

喪失を知る貴方に。
ボーン・アルティメイタム

殴って殺せる、ウィル・ハンティング。"It's not your fault."と連呼しながら、いつロビン・ウィリアムスが現れてボーンの過去を明かすのか、最後までヒヤヒヤが止まりませんでした。
ウェイトレス

女性にウケるハーレクイン的三種の神器を満たした作品。「獣のような肉欲でセックスを満たしてくれる男」、「性欲の枯れた老人による精神的承認と金銭」、「我が子」。ここに「自分にしかできない仕事」が加わるのが現代風。妊婦が恋愛対象としてアリなのは欧米が繁殖に軸足を置いた文化だからか。本邦は死に軸足を置いた文化だから共感しにくい。監督の死が、最大のパンチライン。
バタフライ・エフェクト

時系列のザッピングがシナリオの根幹で、それが一人の少女を救済するために展開してゆくストーリーは、エロゲー愛好家である諸兄を大いに満足させるだろう。しかし、この映画の素晴らしさはそれだけではない。「自分を不幸に落とせば他の人たちは幸福になる」という方法論ではハッピーエンドにたどり着かない倫理観こそが、真に着目すべき点だ。え、2って? 続編なんて製作されてないよ?
 

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