世界はあまりに膨大になりすぎたため、ただの羅針盤にさえ重大な意味がある。

愛のうた


イーグル・アイ

凡百の監督なら3時間かけてダラダラ撮影するだろう、ほとんど陳腐なパーツの組み合わせでしかないシナリオを、場面場面を点と割り切って編集することで緊張感に満ちた2時間を作り上げた。その短歌的な方法論には脱帽である。「ええ? 人間の感情の崇高さを描きたいって? ハハハ、ボーイ、まず舞台装置から用意しなよ!」。世界の謎とか人類の救済とかを半ば本気で思索するnWoには生涯到達しえない境地に、嫉妬と無力感で死にそうになる。そして、以上すべては皮肉ではないのだ。スピルバーグ、すげえ! どこまで進化する気なんだ!
おくりびと

風呂敷をたたみすぎた印象。本邦独自の死生観を西洋的なトラウマの解消へ収束させるのはいただけないが、それが受賞の理由なのかなあとも思った。あと、ヒロスエの演技の大根ぶりが英語では充分に伝わらないのではと危惧したが、それが受賞の理由なのかなあとも思った。
ゲットスマート

nWoが自信を持って推奨するギャグ映画である。多くのキャプションや過剰なリアクションに慣れた本邦のお笑いファン諸君には、敷居が少々高すぎるかもしれないがね。
銭ゲバ

言葉や論理を必死に整合して、なお伝わらないという経験を幾度繰り返しただろう。ここにはすべてを飛び越えて、ただ「伝わる」だけがある。暴力的なまでに伝わる様が、ひどくうらやましい。
闇の子供たち

存在が発覚するとご近所、特に妙齢の婦女たちが逆の意味でざわめくところの鈍色アンチ・スターこと“ぺ様”であられる諸君は、とりあえず己の嗜癖にどの程度の深刻性が含まれるかを確認するため、視聴するとよい。肉体的に反応があれば、君は相当の人物である。映画としては、まあ、アレだ。映画が題材にビビッてる感じ。
スカイ・クロラ

1984年を読了し、フライ・ボーイズを視聴することで、この映画は完全に成仏します。みんな、急いで! 誰かが世迷言を言い出す前に!
ジョン・ランボー

ロッキー・バルボアに続く、ジョン・ランボー。例えば映画であることを目指したMGS4と、映画であることを越えようとしたランボー4。いずれがより崇高であるかは、もはや言及するまでもない。
アイム・ノット・ゼア

ボブ・ディラン世代から遠い小生は、ケイト・ブランシェットが男役を演じるという一点のみが視聴の理由であったが、クリスチャン・ベールとヒース・レジャーのダークナイトコンビが出演していて驚いた。しかしながら、この映画を肯定的に捉えることができるのは、ケイト・ブランシェット萌えの御仁のみであろう。
運命を分けたザイル

極限状態における人間心理の機微を描く、良質なドキュメンタリー。なぜか「ひかりごけ」を思い出した。
非現実の王国で

百年早く、しかも異国で生まれてしまった例の人の話。やはりこういう志向性というのは、人間精神にとって普遍的なものを含むのかもしれないなあと思った。題材先行で視聴しましたが、ドキュメンタリーとして非のうちどころがない構成でした。
アンフィニッシュト・ライフ

久しぶりに映画らしい映画を見た気がする。視聴するという行為そのものが批評も批判もすべて精算して、見終わった後に何も言葉を残さない。
JUNO

最後の十分までは完全無欠の大傑作なのではないかと、息を詰めて見た。誰か、中年作曲家との間に張りまくった伏線を回収せず全部ぶん投げて、同級生と元のさやに納まった理由を説明して下さい。感情的にというより、作劇的に納得がいかないのです。ともあれ、本邦では腐臭放つ婦女子たちによる宣伝と処女性の壁がおたく諸君の前へ大きく立ちはだかるが、"なんとかデレ"という概念が好きな貴君は万難を排して視聴せよ。
4ヶ月、3週と2日

ただの会話劇のはずなのに、冒頭から異様な緊張感。そして、そのテンションは映画の終わりまで途切れることなく持続する。だが私の感想は、「社会主義国家の産婦人科って、役得だなあ」という猥褻さに帰着するのであった。傑作。
ぜんぶ、フィデルのせい

政治的な風景や進歩的な家庭が、いかに子どもにとって不必要であるかが描かれて――すいません、わたくし、いま自分を偽っておりました。ニナ・ケルヴェルが最高すぎます。あの眉間の皺ったら! 決定、けってーい! nWo四天王入り決定です。
バケット・リスト

役者を役に配したというより、役を役者に配したという印象。この二人もそれほど遠くない未来に死ぬのだという事実が脳裏をかすめれば、心を動かされないわけがない。ズルいなあ。そして、恥ずかしげもなくこんな邦題をあてがう鈍磨しきった感性と貧しい日本語力に慄然とした。
 

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