想像力がある限り、世界は完成しない。

MMGF!~もうやめて、みんなゴア表現に震えてるわ!~(外典・狂都奈落鏖断阿修羅地獄変)

 わたしの名まえは、琴理香(こと・りか)。どこにでもいるふつうの女の子。
 でも、わたしにはヒミツがある。小鳥猊下(ことり・げいか)ってハンドルネームで、「ねこをおこさないように」っていう名まえのちょっといけないホームページを運えいしているの。ともだちも知らない、お父さんとお母さんにも言ってない、わたしと、そしてあなただけのヒミツ。
 いま、わたしは京都にむかうでん車にのっている。ネットでの知りあいに会うためだ。
 かの女の名まえはSMD虎蛮(さめだ・こばん)。ひょんなことから「ねこをおこさないように」にイラストを描いてもらうようになった。いつものことだけど、ネットでしか知らない人とはじめて会うのってドキドキする。いったいどんな子なんだろう。もしかして、わたしたち、ともだちになれるかな?
 そんな楽しい空そうにひたっていると、ビートルズのイン・マイ・ライフのイントロが、たんたんたたたたん、とひびいた。
 ケイタイの着メロ。あ、虎蛮ちゃんからだ。
「アンタ、いまどこにいんの?」
 まえおきもなしの不きげんそうな声に、わたしの体はビクッとなった。まだでん車のなかだよってつたえると、
「ハァ? なにそれ? こっちはもうとっくに着いてんだけど?」
 わたしはあわててじぶんのうで時けいを見て、それからでん車のなかの時けいを見た。まちあわせまで、まだ1時間いじょうもある。
 すごくきつい口ちょうだったので、もごもごと言いわけみたいなへんじになった。そしたら、ケイタイのむこうがわでハーッと大きなためいきがした。
「これだから、ネット界隈でひきこもってる人種とやらは……」
 ちいさな声だったけど、たしかにそう聞こえた。すっごく気にしてるネットひきこもりのことをズバッと言われたので、わたしはなみだがジワッとでてきた。
「あんたさあ、もしかしてイタリアかどっか、日本じゃないとこの出身なわけ? 私の担当編集なら遅くとも2時間前には待ちあわせ場所に来て、背筋のばして正座してるわよ。もう信じらんない!」
 30分まえには着くつもりだったのに、虎蛮ちゃんのギョウカイでは2時間まえに着くのが常しきだったなんて! そうぞう力のないじぶんのダメさにガッカリしたら、もうなみだがポロポロととまらなくなった。
「ごめんね、ごめんね、いそぐから、ごめ」
 んね、を言いおわらないうちにプツッとつう話がきれた。
 わたしはすっかりうろたえて、とおりかかった車しょうさんに、「もっとはやく着きませんか」とたずねたら、「電車ですからねえ。時刻表どおりにしか着きませんねえ」と、にが笑いされた。
 さしむかいの席にすわっていた上品そうなおばあさんが、そのやりとりを聞いてホホホと笑った。
 わたしはバカなことをたずねてしまったじぶんがはずかしくなって、でん車が京都駅に着くまでまっかになって下をむいていた。


 ドアのまえで足ぶみしていたわたしは、でん車がとまるとすぐにみやこじかいそくをとびおりた。はあはあと、いきをきらせて駅のかいだんをかけあがる。
 まちあわせばしょは、しんかんせんの改さつがある中おう出口。そこに、わたしとおない年くらいの女の子が立っていた。ツイッターのにがお絵そっくりで、わたしはそれがSMD虎蛮ちゃんだって、すぐにわかった。
「虎蛮ちゃん!」
 虎蛮ちゃんにかけよると、わたしは地めんにおでこがつくぐらい、おもいっきりあたまをさげた。
「おくれてごめんなさい!」
 きっと、すっごくおこられるんだろうって、かくごしてた。でも、虎蛮ちゃんはいがいそうに、
「へえ、あんた、女の子だったんだ! あんなホームページやってるから、私はてっきり」
 どうやら、あんまりおどろいたので、おこってたのをわすれちゃったみたい。
 ホッとするとなんだかうれしくなって、わたしは虎蛮ちゃんにまくしたてた。
「うん、はじめて会った人にはよく言われるんだー。わたし、琴理香。リカってよんでね!」
「リカぁ?」
 けげんそうな顔。近くだと、たしかににがお絵そっくり。
 でも、よくよく見ると目のしたはうっ血してまっくろで、目つきはすさんだ感じをしていて、すこしこわかった。
「あんた、猊下でしょ? 小鳥猊下。ちがうの?」
 これもいつものしつもん。
「えっとね、じつは小鳥猊下って、ふたりでつかってるハンドルネームなの。『ねこをおこさないように』ってね、10年まえにネットで知りあったパイソン・ゲイってアメリカ人といっしょにやってるの。かれがギャグたん当で、わたしがリリカルたん当。もう気づいたかしら? コトリゲイカって、コト・リカとゲイのアナグラムなんだよ!」
 わたしがみぶり手ぶりでいっしょうけんめいせつ明すると、きびしかった虎蛮ちゃんの表じょうがすこしゆるんできた。
「へえ、ゆでたまご方式ってわけね。ようやくガテンがいったわ。じゃなきゃ、あんな精神分裂みたいなホームページの説明、つかないもん!」
 虎蛮ちゃんのことばはとてもするどくて、わたしの心にグサッとつきささった。
(表げんをする人って、みんなこんなかんじなのかな……)
 わたしはまたジワッとなみだがでてきたけど、なんどもまばたきをしてごまかした。そして、キズついたことをさとられないよう、できるだけ元気にたずねる。
「ねえ、あなたのこと、SMDちゃんってよぶべき? それとも、虎蛮ちゃんってよぶべき?」
 すると虎蛮ちゃんは近くのまるいはしらに背なかをあずけて、ちょ者近えいのときのお気にいりのかっこうみたいなポーズをした。
「そうね、私のことは……ダコバって呼んで」
「だだだ、ダコバぁ?」
 思ってもみないへんじにおどろいて、すこしどもってしまう。虎蛮ちゃんの顔はひらべったくて、どう見ても日本人ってかんじだったから。もしかして、いまはやりのドキュンネームってやつかな? 堕枯馬、とか書くのかしら。
 そうこう考えているうち、虎蛮ちゃんの顔にみるみる不きげんがもどってきたので、わたしは大あわてでまくしたてた。
「ダコバ! すっごくステキな名前ね! 秋の夕ぐれみたいな! わたし、夕日が麦わらにてりかえすのを想ぞうしちゃった! そういえば、ふんいきもダコタ・ファニングってかんじ?」
 虎蛮――いや、ダコバちゃんの小鼻がすこしふくらんだ。この方向でいいみたいだ。
「はじめてあのホームページを見たときから、なんていうの、センス? とにかくあなたはちょっと他の管理人たちとはちがうなって感じてたわ。本当に奇遇なんだけど、SMD虎蛮もね、じつはふたりの共同ペンネームなの」
「えーっ!」
 わたしがほんとうにびっくりして声をあげると、ダコバちゃんはすっごくとくいそうな顔をした。うん、やっぱりこの方向でいいみたい。わたしは心のなかで、すこしホッとする。
「アイツ、不法入国者なんでちょっと国の名前はかんべんしてほしいんだけど、中東出身のサメン・アッジーフって男とコンビで漫画やってるの。私がストーリー担当で、かれが作画担当」
「あー、わかった! サメダコバンって、ダコバとサメンのアナグラムだ!」
 わたしが胸もとで手のひらをパチンとうちわせると、ダコバちゃんはくちびるのはしをまげてフフッっと笑った。
「ご明察、こわい子ね……。あなたのこと、ただの時間を守れない、社会不適応のだらしないネットひきこもりだって思ってたけど、なかなか頭の回転が速いじゃないの。私たち、なかよくなれそうね。改めてよろしく、リカ」
 ダコバちゃんはそう言いながら、右手をさしだしてきた。わたしはまた、ダコバちゃんのするどすぎることばがグサッと胸にささっていた。
 わたしはなみだがジワッとでてくるのをがまんしながら、その手をにぎりかえした。ダコバちゃんの手のひらは、ちょっとにちゃっとしていた。


「ねえ、トウキョウから長たびだったでしょう? おなかすいてるんじゃない?」
 わたしはまず、ダコバちゃんをお昼につれていくことにした。ダコバちゃんをよろこばせたかったのと、「リカ、人間はおなかがいっぱいのときには不きげんになれないよ」って、おばあちゃんからいつもおそわってたから。いっぱいいっぱい考えて、京都駅ビルのいちばんうえにあるお店を予やくしてあった。
「うわーっ、すごい!」
 ふうがわりなビルの外見に、ダコバちゃんが子どもみたいなかん声をあげる。そのようすに、なんだかわたしまで楽しくなってきてしまう。
「これって、リカがホームページに書いてたところよね」
 大かいだんをチョコレート、パイナップルって言いながら1だんとばしでのぼっていたダコバちゃんが、ほっぺをまっかにしてふりかえる。
「えーっ、ダコバちゃん、そんなのおぼえてるの?」
「リカの書いたことならなんだっておぼえてるわよ」
 ダコバちゃんがいたずらっぽくくちびるのまわりをペロッとなめるのを見て、わたしはなぜかドキッとする。
「たしか、たくさんのガラスがまるで処女膜みたいって書いたのよね!」
 わたしはとたん、じぶんがまっかになるのがわかった。
「もうっ、ちがうんだから! あれを書いたのはわたしじゃなくて、パイソンなんだから!」
「がおーっ、ガメラだぞー! ちんぽだぞー!」
 ダコバちゃんはすっごく大きな声でさけぶと、ふざけてわたしを追いかけてきた。まわりの人たちがこっちを見てヒソヒソ話をしているのは気になったけど、いまのわたしたちって、とてもいいかんじじゃない?
「もう、ダコバちゃん、やめてよ! はずかしいったら!」
 笑いながらふりかえると、大かいだんのまんなかでダコバちゃんが右のわきばらをおさえてうずくまっていた。
「ダコバちゃん、どうしたの!」
 わたしの声は悲めいみたいだった。心ぱいに胸がつぶれそうになりながらかけよると、ダコバちゃんの顔は花輪和一の漫画みたいにオッサンになっていた。首をかきむしりながら、うわごとのようになにかつぶやいている。
「うう、手が、手がふるえよる……ワシ、漫画家なんやで。右手一本でかせがなあかんねんで……」
 どうしよう、ねっ中しょうかもしれない。
「すずしいところでよこになったら、きっと楽になるわ。がんばって!」
 わたしはダコバちゃんにかたをかすと、予やくしていたお店までひきずるようにしてはこんでいった。
 お店に着くと、ダコバちゃんはそれまでくるしんでいたのがウソみたいに、じぶんでカウンターまであるいていって、ながれるようにスツールへこしかけた。
 それから、すごくナチュラルに生ビールを3はい、ちゅう文した。顔は女の子にもどっていた。
 わたしがあっけにとられていると、すぐにしゅわしゅわとアワをたてる金いろのビールがはこばれてきた。わたしののどが、ゴクッとなった。
「1ぱいは私に、1ぱいはあなたに。そしてもう1ぱいは――」
 かっこよくグラスをかたむけてゆかにこぼしかけて、
「やっぱり私に」
 ダコバちゃんはそのままいきもつかずに、2はいのビールをグーッとあけた。
 6月にしては、すごくあつい日だった。わたしはビールにまほうがかかってるみたいにさからえなくなって、ダコバちゃんを追いかけてグラスをグーッとあけた。
 ぐ、ぐふぅ。
 わたしはそのとき、じぶんが花輪和一の漫画みたいに顔だけオッサンになっているのがわかった。ヒゲをじゃりじゃりいわせながらくちびるのアワをぬぐう。
 うふふ、でも平じつの昼からアルコールをのむハイトクカンで、リーサラにとってのビールはますますおいしくなるなんて、自ゆうぎょうのダコバちゃんにはわからないかもね。
 なんて考えながらダコバちゃんのほうを見ると、編集王でマンボ好塚が自販機のとなりで酒を飲んでいるときみたいな顔で右手を見つめながら、「へ………へへへ。見てみィ………へへへ……。震え……止まりよったで……」なんてつぶやいているんです。すると、じしん(ふきんしん!)みたいにブルブルしていたダコバちゃんの手のふるえが、みるみるおさまっていったのです。
 しろ目のところがきいろくなってるのが見えて、わたしはゾッとして目をそらしました。


「うーん、やっぱり外はあっついわね! ねえ、ダコバちゃん、どこか行きたいところはあるかしら?」
 アルコールくさい息で大きくひとつのびをすると、わたしはうきうきしながらダコバちゃんにたずねました。
 京都には、お寺とかむかしのものがたーくさんあって、ダコバちゃんといっしょにそういうばしょをかん光できると思うと、なんだかしゅう学りょ行のときみたいでとってもワクワクしたからです。
 そのときダコバちゃんの目がするどくなり、なにかだいじなことをおもいだしたみたいな表じょうになりました。
「あるわ。三条河原町まで出るわよ」
「あっ、かわらまちなら地」
 下鉄、と言いおわらないうちに、
「ヘイ、タクシーっ!」
 ダコバちゃんはサルまんの編集者みたいに、すごくナチュラルにタクシーをとめていた。そ、そうよね。ダコバちゃんはうれっ子なんだから、金せんかんかくがちょっとブッとんでても、すこしもヘンじゃないよね。
 ダコバちゃんはながれるようにタクシーへのった。わたしがさいごにタクシーにのったのはお母さんが急びょうのときだったので、すごくドキドキしながらあとにつづいた。
 かばんからアイパッドをとりだすと、ダコバちゃんは「ここ。ここ行って」とタクシーのうんてん手さんへ、画めんをカツカツいわせながらゆびさしました。
 いっしゅんチラッと見えたアイパッドの画めんには、まっくろなはいけいにデザインかな? いろとりどりの草があしらってありました。でも、どうしてまん中に大きなドクロマークがついてるんだろう?
「元ヤン……学校内ヒエラルキー……ナウシカ……パイオツでかい……幕末や新撰組……手垢のついた題材……あるいは……」
 タクシーにのっているあいだ、ダコバちゃんはまどのそとをながめながら、ずっとひとりでブツブツ言っていた。
 わたしはなにか単ごが出てくるたびに「うん、そうね、そのとおりね」とあいづちをうったが、りこんすん前のじゅく年ふうふのように、かい話はせい立していなかった。
 かも川ぞいをしばらくはしると、タクシーは京都にもこんなばしょがあったのかって思うぐらいすさんだかんじのうらろじにとまりました。
 黒ネコがダコバちゃんとわたしを見て、フーッと毛をさかだてながらはしっていきます。お昼なのにかんばんのネオンがぴかぴかするホテルがあって、すぐ目のまえですごくふつうじゃない服そうのカップルがなかへ入っていきました。
「ねえ、なんだかこわいよお」
 わたしはダコバちゃんの服のはしっこをつかんで、小さくなってついていきます。
 ダコバちゃんははじめての土地なのに、すごく自しんにみちあふれた足どりでよごれたビルのかいだんをのぼっていき、いくつめかのとびらで立ちどまりました。
「ここね」
 そこはかんばんもなにもあがってなくて、マンションかアパートのふつうの1室ってかんじです。
「リカ、あなたはここで待ってなさい」
「え、でも」
「いいわね?」
 ダコバちゃんはきゅうにわたしをだきよせると、うむをいわせないかんじでおでこにキスをしました。
 わたしがボーッとなってるうちに、ろう下の左右に目くばりしてから、うすくあいたとびらのすきまに体をすべりこませました。
 いっしゅんチラッと見えたへやのなかのようすは、むかし夜のえい画で見たアヘンくつのようにけむっていました。ガリガリにやせたスキンヘッドの男の人がソファであおむけになって、「ねえさん、このハイゴウ、サイコウやわー」と、ろれつのまわらないようすで言っています。
 バタンととびらがしまると、わたしはひとりきりになりました。このビルのかんけい者らしいモヒカンの男の人が、わたしをにらみながらかいだんをのぼっていきます。
 わたしはこわいのと心ぼそいので、なみだがジワッとでてきました。
 すごく長い時かんをまっていたような気がしましたが、時けいを見ると10分くらいのことでした。ダコバちゃんが草の入ったスーパーのふくろをかた手に出てきました。
「待たせたわね。どうしたの、あなた、泣いているの?」
 やさしくだきよせられるとボーッとなって、こわかったのもぜんぶどうでもいいみたいな気もちになりました。
「ダコバちゃん、その草は……」
「ああ、これ? アシスタントへのおみやげ。京野菜らしいわ」
 話だいをうちきるように早口で言うと、ダコバちゃんはスーパーのふくろをわたしからかくしたいみたいにカバンのおくへとねじこみました。
「ねえ、せっかくはるばる来てくれたんだし、もっと京都っぽいところをかん光しましょうよ」
 わたしはかん光ガイドをとりだしながら言いました。
 それに、もうこんなこわいところはたくさんだわ。
「そうね、せっかくあなたとふたりきりの時間なんだしね」
 ダコバちゃんがやわらかな表じょうでうなづき、わたしははじめてまともに話を聞いてもらった気がしました。
 でも、すぐにそれは気のせいだったことがわかりました。 


 おたくのせい地・きょうと(狂屠)アニメーション(通しょう・狂アニ)は、各ていしかとまらないふつうの駅のふつうの住たくがいにありました。ピロリンって音が聞こえて、それはダコバちゃんがスマートフォンで狂アニのたて物をさつえいしているところでした。
「ちょっとツイートしてみるわ。『狂アニなう』っと。人生初なうー」
 いっしょにお寺をめぐったり、まいこさんの衣しょうを着て写しんをとったり、そういうしゅう学りょ行みたいなのを期たいしていたわたしは、じつはない心ひどくガッカリしていました。
 でも、はしゃぐダコバちゃんのすがたを見ると、これはこれでいいかなって気になってきます。でん車にのっているときのダコバちゃんは、ハンターハンターの幻影旅団の団長みたいな人殺しの表情で、「狂アニ……ふむ、狂アニか……少し、興味がわいてきたな……」などと気のないふうでした。なのに、いまは大よろこびですもの。
 それにしても――
 げいおん(鯨音)!のポスターがはってなければ、ふつうに見のがしてしまっていたかもしれない、ふつうのたて物です。ただ、正めんのかべはピカピカするきいろでぬられていて、わたしは同じいろのきゅう急車を町でみかけたことがあるのを思いだした。
 となりのおばさんがうつむいたむす子さんをのせながら、「この子、20年くらい外でてなくって」と、なぜかすごくスッキリした顔で言ってたっけ。
 わたしは、狂アニにはってあるポスターをまじまじと見つめました。ネットサーフィンくらいの知しきしかありませんが、女子高生4人ぐみが反ほげいかつ動に青春をささげるアニメで、この冬のげきじょうばんでは、グリーンピース本ぶへゲバぼうでカチコミをかけるのだそうです。
 ドカッ、ドカッ。
 首をまよこにかしげながら、なぜこんなアニメが大ヒットするのかしらと考えていると、うしろで大きな音がしました。
 ふりかえればスマートフォンをにぎりしめたダコバちゃんが、近くの水ぎんとうになんどもなんどもナガブチキックを入れています。キックのたび、水ぎんとうはでんげんの入ったバイブみたいに大きくゆれました。
「やめて、ダコバちゃん!」
 わたしがうしろからだきつくと、ダコバちゃんは花輪和一の漫画みたいに顔だけオッサンになっていました。
「4000人もいるくせに、雁首そろえてだんまりかよ! この、おしフォロワーどもめが! 俺がツイートしたら5秒以内に『オッ! SMD先生、ついに狂アニと仕事ですか! やっぱすげえなあ!』くらい気のきいたレスつけるのが礼儀だろ、フツー! 俺がツイートしたら5秒以内に『SMD先生と狂アニのコラボ、濡れちゃいます! 抱いて!』くらいのレスしながら自画撮りマンコの写メ送るだろ、フツー!」
 ダコバちゃんのはつ言はまったくふつうどころではありませんでしたが、たしかにツイートしたのにまったくはんのうがないときの、せかいにひとりぼっちのかんじはさい悪です。みんなにサービスしたくってたくさんツイートしたらフォロワーががくんとへったときのことを思いだして、わたしはなみだがジワッとでてきました。
「ダコバちゃん、もうじぶんをキズつけるのはやめて……フォロワーなんて、そう、コクゾウムシだと思えばいいのよ」
「ダイオウグソクムシ?」
「いえ、コクゾウムシ。フォロワーなんて、4000びきのコクゾウムシと思えばいいの。そしてダコバちゃんはお米。お米がないとコクゾウムシは生きていけないのよ!」
 わたしは、テキストを中しんとしたホームページをやっているだけあって、気のきいたなぐさめを言うなあと思われてると思って、言いながらすこしとくいになっていた。
 でもダコバちゃんは、耳がとおい人のようにすごい大きな声で、
「え、おめこ? おめこどこ?」
 とききかえしてきた。このテのおたくたちにはすっかりなれっこですよというかんじの近じょの人たちが、なかばほほえみながらこちらを見ていた。
 すっかりはずかしくなったわたしは、花輪和一の漫画みたいに顔だけオッサンになって、「なにがおめこだよ! クンニしろよ、オラァ!」とあらあらしくさけぶと、「あのね、みおたんのTシャツを着て上から自分の乳首をまさぐると、みおたんを犯している気がして興奮する」などと意味不明のうわごとをくりかえすオッサンをでん車にむりくりおしこみました。


「もしジャンプで連載もてたら、五重塔の上で妊婦と神父がバトルする漫画描くわー」
 こうふく寺のがらんをさつえいしながら、ダコバちゃんは上きげんでした。わたしは、わがままなこい人にふりまわされる気もちでそのようすをながめていた。
 日もくれようとするころ、わたしたちはなぜか奈良にいました。
 それにしてもダコバちゃん、なんで奈良にやどをとったんだろう。もしかするとトウキョウの人にとっては京都と奈良と五島れっ島のあいだに、大きなちがいなんてないのかもしれません。
 でも、せっかく奈良まで足をのばしたんだし、あしゅらぞうが見たかったわたしはダコバちゃんをこうふく寺へつれていくことにしたのです。でも、それが大きなまちがいだったみたい。
 国ほうかんに入るやいなや、みるみるダコバちゃんの表じょうはくもっていき、花輪和一の漫画みたいなオッサンの顔になった。
「なんだよ、このギャラリーフェイク、エロ要素ねーなー」
 などとつぶやきながら、パイプいすにすわっているショウワみたいな顔だちをした黒メガネの学げいいんに「あれ、あなた知念さん? 国宝Gメンの?」などとなれなれしく話しかけはじめた。
 わたしはなんとかダコバちゃんの気をそらそうとして、
「ねえ、これ地ぞうぼさつよ! ダコバちゃんの大すきなまどか(円広志?)にも出てたんでしょ?」
 言いおわるか言いおわらないかのうちに、ダコバちゃんの顔はみるみる特攻の拓に出てくる不良みたいにけわしくなっていった。りゆうはわかりませんが、どうもふれてはいけない話だいみたいでした。
 わたしはすっかりうろたえて、「あの、お花をつんでくるね!」と言いのこしてそのばをはなれました。
 お手あらいからもどってくると、大あばれしてるかと思っていたダコバちゃんは、ねっ心にみろくにょらいざぞうを見あげていた。わたしはすこしホッとして、mmgfbg.jpg
「ミロクさま、ステキなお顔をしてるわよね。ダコバちゃん、気に入ったの? 絵ハガキかう?」
 そのときわたしは、ダコバちゃんの右手が、ハンターハンターでネテロ会長が百式観音・零をはなつときみたいに、親ゆびと人さしゆびがわっかをかたちづくり、中ゆびが立ったじょうたいになっているのに気づきました。
 口をふさぐいとまもあらばこそ、ダコバちゃんは、
「コイツの左手、なんか手マンみてえ」
 とすごい大きな声で言いました。わたしはそくざにもっと大きな声でさけびました。
「そうね、みごとなけまん(華鬘)よね! さあ、もう5時よ! へいかんする時間だわ!」
 うしろからヘッドロックぎみに、わたしはダコバちゃんを出口のほうへひきずっていった。
 あしゅらぞうのまえをとおるとき、「ヘソの下の肉、すげえエロい」などとうわごとを言いかけたので人中へ1本けんをいれると、ダコバちゃんはえのもとの死体みたくはいいろになった。
 けいびいん2人が大またでこっちにあるいてきてたけど、へいかんの追いだしのためかどうかはわかりませんでした。
 できるだけこうふく寺からとおいところにと、ならまちの外れにあるお店のこしつまでつれこんだところで、ダコバちゃんはキン肉マンのジェロニモが心ぞうマッサージをするみたいにしてそ生した。
 きっとわたしの強いんさが不まんだったのでしょう、ダコバちゃんはしばらくのあいだひと言も口をきかずにくちびるをとがらせていた。
 でも、ビールがピッチャーではこばれてくるとたちまち上きげんになって、
「じゃあ、ふたりの出あいにかんぱーい!」
 なんて、かんぱいの音どをとってくれました。でも、いっ気にのみほしたあと、つくえにジョッキをたたきつけるようにおくと、編集王でマンボ好塚がホテルに編集者を集めて土下座してからビールを飲んだときの表情で「…旨え。」と言ったので、わたしはゾッとして目をそらしました。
 たくさんあせをかいたせいか、ほどなくしてわたしにもよいがまわってきました。
「ねえ、ダコバちゃんはどこまでけいけん、あるのかな?」
 ダイタンなしつもんをしてしまったのは、たしかにアルコールが言わせたせいもあるけれど、1日いっしょにあるきまわったのに、まだダコバちゃんのことをなにもしらないような気がして、さみしかったからでした。
 ダコバちゃんは首をかしげ、トロンとした目でわたしをみつめかえしてきた。
「わ、わたし? わたしは、び、ビーまでかな」
 なんでわたし、はじめて会った子にこんなこと言ってるんだろう。じぶんでも、顔がまっかになるのがわかりました。
 じつは1どだけ、ダコバちゃんが描いているマンガを見たことがあった。とってもエッチな内ようだった。あんなマンガを描くぐらいだから、ダコバちゃん、きっと――
「んあ? 敬虔? ああ、なんだ、経験か。おかしなこと聞くのね。ディーよ、ディー」
「ででで、ディぃー?」
 わたしは思いがけないこたえにすっかりうろたえてしまった。(もちろんAがキスで……)(……はじめての……チュウ)(君とチュウ)(Bは当然、アレ……)(ペッティング!)(Cって、もちろん)(セ……セックス……!!)(やってやるッ!)(でも、D……?)(頭文字……イニシャル……?)(え、セックスの次って……なに?)(快ッ感ッ)(ドライオーガズム的な?)(……ッッッ!?)わたしのあたまのなかは板垣恵介の格闘漫画で1秒が何分にも感じられる演出がかけめぐりました。
 ダコバちゃんはすっかりかたまってしまったわたしをあきれたようにながめて、
「あんたさあ、あんなホームページやってるくせに、ディーも知らないの? 堕胎に決まってんじゃん、ダタイ」
 ダコバちゃんは、ダタイにぼう点がついてるみたいにはつ音しました。(ダ…タイ……)(ダタイズム?)(ダタイオサム……的な……?)あたまのなかにかけめぐるわたしの板垣恵介的おどろきをしり目に、なにかスイッチが入ったのか、ダコバちゃんは花輪和一のマンガみたいに顔だけオッサンになると、いっきにまくしたてた。
「なあ、おまえ、いったい俺が何のためにエロ漫画描いてると思ってんだよ。いい女とファックするために決まってんだろ。あんたがしかつめらしくホームページ更新するのだって、そんなご高尚なもんじゃねえ、いい女とファックするためだろ、え? あれだけの奉仕をしてんだから、ファックぐらいの見返りがあって当然じゃねえか。てめえの指で濡らしてからまたがって、アニメ見てる俺がイクまで腰ふって、身ごもったらソッコー、セルフ堕胎パンチであとくされなく身をひくだろ。おまえさあ、いま笑って聞いてるけど、それぐらいやってもらって当然の社会奉仕をしてんだよ、俺たちは。くそ、メスどもが! 身ごもったらソッコー堕胎パンチやろが! 女ぐらいにできることで、俺たちのサービスに匹敵するのは、セルフ堕胎サービス以外ないやろが!」
 オッサンの顔をしたダコバちゃんは大きな声でダタイパンチ、ダタイパンチとさけびながら、ボディーブローでだれかのおなかをなぐるマネをしました。
 でも、なかいさんがしょうじをスッとあけたしゅん間、ダコバちゃんは元のような女の子の顔にもどった。
「さて、じゃあ酔っぱらっちゃわないうちに例のうちあわせしとこっか」
 そう、すっかりわすれかけてたけど、今回ダコバちゃんがわざわざカンサイまで来てくれたのは、じゃっじゃじゃーん、アリアケのコミケトーにふたりで同人しを出すうちあわせのためだったのだー! えへへ、おどろいた?
 わたしはすまし顔で、ゆっくりとビジネス手ちょうをとりだすと、とがらせてきたエンピツの先をペロッとなめた。でも、心のなかは、はじめての「うちあわせ」にすっごくドキドキしてた。
 ダコバちゃんはいきおいよくぐーんとりょう手をひろげて、
「あんたはバーンと300ページくらい書いて。わたしはドーンと5枚くらい? いや、3枚くらいはイラスト描いたげるから。仲居さん、いちばん高い白ワイン持ってきて! ボトルで!」
 うちあわせは8びょうくらいでおわった。わたしの口のなかに、にがいあじがひろがった。さっきなめたエンピツの黒えんがりゆうではないみたいだった。
 これがうちあわせ? わたしが期たいしてたのと、なんかちがう……。でも、なにも知らないウブな女と思われるのはイヤだった。
「わかったわ、バーンね」
 わたしはまっ白な見ひらきのページに“バーン”と大きく書くと、みけいけんの女の子がはじめてのエッチのあと、それを男の子にさとられたくなくてすぐパンツをひきあげるみたいに、サッとビジネス手ちょうをカバンへしまった。
「あなたのしじってわかりやすくて、すごくてきかくなのね。びっくりしちゃった」
 わたしは、みけいけんの女の子がはじめてのエッチのあと、それをさとられたくなくてむかしのエッチとくらべて男の子のテクニックをほめるみたいな言いかたをした。
 ダコバちゃんはとたん、小鼻をふくらませて、
「でしょ。あんたが賢い子でよかったわ。シロウトはすぐ勘違いするんだけど、多すぎる言葉って、逆にインスピレーションを阻害するのよね」
 高きゅうな白ワインなのに、かけた茶わんにどぶろくをそそぐときみたいにそそぐと、いっ気にあおった。
「くっはー、タダ酒の味はたまんねえぜ!」
 ダコバちゃんは花輪和一の漫画みたく、顔だけいっしゅん、ひどいオッサンになった。そしてつづけざま、サイフからとりだした紙まきに火をつける。
「ダコバちゃん、たばこやめたんじゃなかったの?」
 わたしはみけいけんの女の子が1かいのエッチでにょうぼうヅラをするときみたいに聞こえないようちゅういしながら、ダコバちゃんをたしなめました。
「ん、煙草? ああ、やめたわよ。タバコはね」
 タバコにぼう点がついているみたいにはつ音すると、ダコバちゃんはわたしの顔へふーっとけむりをふきかけた。
 もう、やめてよ。わたし、たばこきらいなの。せきこみながらこうぎしようとすると、ダコバちゃんのかばんからスーパーのふくろに入った草がのぞいているのが見えた。
 とつぜん、ダコバちゃんのうしろのしょうじがスーッとひらいて、なかいのかっこうをしたピンクのゾウが入ってきた。そして、2ほん足で立ちあがると、「ぱおーんぱおーん! 黎明、黎明、との、殿、れーめーにござる! 電柱ですぞ! どどどどかーん!」みたいなことを富山敬の声でさけびました。
 とたん、目のまえがぐるぐるしはじめ、ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンドのアニメみたいないろのこう水がやってきて、わたしは気をうしなった。
 気がつくと、わたしは全しんずぶぬれでアスファルトにねていました。くすぐったさに体をよじると、ダコバちゃんがわたしのむねに手をつっこんでいます。
「あ……やめて、こんなところで……」
 わたしはかろうじてていこうをしめしましたが、じつはすこしきもちよくて、きもちいいのにどうしてかジワッとなみだがでてきました。
「はは、アオカン願望でもあんの? さすがテキストサイトの管理人、自意識だけは売るほど持ってんのね。でも、あんたは私を選んだつもりでいるけど、私にも選ぶ権利はあるのよ。そこ、忘れないでね」
 ダコバちゃんの手には、いつのまにかわたしのサイフがにぎられていました。数まいの万さつをぬきとりながら、
「これは御車代といったところね。あなたもいい勉強になったでしょ。ネットだけの関係で、誰かを頼んじゃいけないってね」
 言いながら、ダコバちゃんは力がぬけて立ちあがれないわたしのおでこに、すごくやさしいキスをした。そして、かたごしにかがやくネオンサインを見あげて、
「まあ、御車代というより、こりゃ御花代に消えそうやな! まいったわ、またカカアにしかられてまうがな! おとうちゃん、後生やさかい、おめこはウチでだけにしてや、ってな!」
 花輪和一のマンガみたく顔だけオッサンになったダコバちゃんは、声をあげて笑った。ネオンサインには“トップレディー”と書いてあり、トゥハート2のキャラが無だんで転さいされていた。体はつめたいのに、なみだだけがあつかった。


 さて、わたしの話はこれでおしまい。え、それからおこったことをもっとくわしく知りたいって? ううん、ごめんなさい、お話したいのはやまやまなんだけど、お医者さまからとめられているの。なんておっしゃったかしら、ぴーてぃーえすでぃー? そういうのがいつまでもなおらないからって。のら犬にでもかまれたと思って、わすれなさいって。 
 え、イラスト? うん、イラスト。えへ、うふふ、あはは、アハハハハハ。らんらんらららんらんらーん、らんらんらららーん、らんらんらんらららんらんらーん、らららららんらんらーん。







MMGF!~見て、みごとなガテン系のファックよ!~(在庫駄駄余解消祈念C80漫遊記・前編)

 これはnWo社所属の日系アメリカ人、パイソン・ゲイによる英文レポートをカンボジア人スタッフの協力で日本語へ翻訳したものです。日英のパラフレーズが困難な単語をカタカナで表記したり、一部文意の不明瞭な箇所があることをあらかじめご了承下さい。なお、このレポートに記載された内容に関するご質問・ご要望・ご批判は、弊社広報室宛のメールでのみ受付けております。なお、英語以外の言語には対応できかねますので、あらかじめご了承下さい。


 十年来のペンパルであるリカが原因不明のディズィーズに倒れ、ステイツのnWo本社から奈良ブランチ所属のミーにアージェントリィ、至急トキオのコミケトー・エイティに向かえというオーダーNo.66が下りマシタ(当社のプレジデントはシスの暗黒卿そっくりのいけすかない野郎デス)! オーッ、ネオ・トキオ! ミラクルという名のパラダイス! スリー・ツー・ワン・ゴー!
 ミーはスーツケースに白青のバーティカル・ストライプのトランクスを押しこみながら(なぜって、ジャパンのギークスの間では、白青のホライゾンタル・ストライプのパンティが大人気と聞きましたカラ!)、胸の高鳴りをプット・アップ・ウィズできなくなっていマシタ! オーッ、サード・トキオ! セカンド・トキオ・ユニバーシティを擁する、エンジェルたちの誘蛾灯! オダワラ防衛線、突破されマシタ! オールモスト寝つけないまま、ミーはバレット・トレイン上のパーソンになったのデシタ!
 トキオ・ステーションから意気揚々とキャブに乗り込み、行き先をトキオ・ビッグ・サイトと告げると、初老のドライバーのフェイスが侮蔑的にディストートするのがわかりマシタ! プアーなジャパニーズのフェイシャル・エクスプレシオン(ミーのマザーはフランス系移民なのデース!)とは思えぬほどのディストーションだったので、ミーはひどくサプライズしまマシタ! ジャパンにおけるギークスへのヘイトは、ステイツにおけるジューズ、ユダ公どもへのヘイトとセイム・クオリティであることをペインフルに実感させられたのデス!
 トゥエニィ・ミニッツ・レイター、ニードルのむしろを思わせるキャブ内のアトモスフィアーからリリースされた先に、シュガーのランプに群がるアンツの如くくろぐろと、ギークスどもがビッグ・サイトを取り巻くのが見えマシタ! まさにシュガーの粒をネストに持ち帰るワーカー・アンツみたいデース! 会場から出てくるギークスはノー・エクセプション、例外なくモエ・ガールの描かれたブックをホールドしていマス! ストリクトリー・スピーキング、厳密にはブックというよりマガズィーン、ガールというよりはベイビーのようデシタ! モエ・ガールたちの表情はいずれもステイツならノー・ダウト、間違いなく寿命をはるかに超えたセンテンス、刑期を食らいこむだろうペドフィリア感をかもしだしていマス! 加えてギークスどものフェイスに張りついた表情は、いずれもステイツならジュリーズ、陪審員たちが数百年の懲役を求刑することにわずかのヘジテイトも感じないだろうクライム感をかもしだしていマシタ!
 オオーッ、あれこそがワールドワイドにノトーリアスな土人誌なのデスネ! ミーを包むディープ・エモーションは、ジャングルの奥地で幻のバタフライを発見したときの昆虫学者のイットに似ていたと思いマス! オップス、本社へのレポートは正確を期さなければなりまセン! 土人というのは、ファースト・ネイションを表すジャパニーズの単語なのデース! ジャパンはポリティシャン(ミーがステイしていたときは、The Demonic Party of Japanとかいうロックンロールな名前のパーティが与党デシタ!)も広言するように、モノ・エシック・グループから成る国家なのデス! 土人誌というネーミングはジャパニーズのプライド・アンド・プレジュディズが混ざりあった複雑なセルフ・コンシャスネス、自意識を体現しているのデショウ!
 ゼアフォー、ゆえにミーのようなフォリナーのメイドした土人誌は、ジャパニーズのデフィニション、定義では土人誌とは呼べないのデス! イン・ショート、つまりコミケトーではフランスワインなみの厳しいクオリフィケーション・ジェスティヨン(ワタシのマザーはフランス系移民デース! ラブ・マミー!)、品質管理が行われているというわけなのデス! ステイツならばレイシズムと呼ばれかねない偏狭さ(辺境さ?lol)デスが、マザーがフランス系移民のミーはそのナローさがカルチャーの正体であることを知っていマース! (ファック、マクダーナルズ!)
 バット、コントラディクティング、矛盾したことにジャパニーズにおけるコミケトーのサウンドは「混み毛唐」と同じなのデス! ザットイズ、すなわち「外人たちで混みあっている」の意味をもインプライしていることになりマス! 民俗学のオーソリティー、クヒオ・ヤナギダ大佐が存命であれば、さぞやこの難問に頭を悩ませたことデショウ! ミーの推測はこうデス! ジャパニーズとネイティブ・アメリカンは同じアンセスター、先祖を持っているという仮説デス! オーッ、汝「混みあう毛唐ども」よ! ネーミングのセンスが似ているのもうなずけマース!
 ギークスのウェイブに流されるままトキオ・ビッグ・サイトに入ると、すさまじいヒートとスメルにノージア、ミーは軽い吐き気とめまいを覚え、思わずシルク製のハンカチーフで口元をカバーしマシタ! すさまじいヒューマン・ガベッジに、もはや進むことも戻ることもままなりマセン! このままではファイナル・デスティネーションにたどりつく前にファイナル・デスティネーションにたどりついてしまいそうデス(訳者注:「最終目的地」と人生の終着である「死」をかけていると思われるが、同名の映画に言及している可能性も否定できない)!
 バット、ドント・ウォリー、ノー・プロブレム! リカのビジネス・パートナー、ダコバのエージェント、代理人サメン・アッジーフのセルフォン・ナンバーをあずかってきているからデス! ミーのヴィジットの目的は、リカとダコバの土人誌、MMGF!(Modified Mason Gain Formula? 奇ッ怪極まるタイトルデース!)の販促アクティビティなのデシタ! コミケトーにおける裏技、セラーがバイヤーに優先してバックドアーから入場できるシステムを今こそメイク・ユース・オブ、利用するのデース!
 ハウエバー、なかなか電話はつながりマセン! ジャパンはセルフォン・デベロップト・カントリーなので、奈良のようなカントリー・サイドのマウンテン・トップでも電話はつながりマス! トキオのようなアーバン・シティで電話がつながらない、こいつはミステリー、エクストリーム不可思議デス!
 何度ものトライと長い長いコーリングの後、ファイナリー、ついに不機嫌そうなボイスのガイが電話に出マシタ! オーッ、ユー・マスト・ビー・サメンサーン! ハワユー!
 「忙シイカラ要件ヲ手短カニ言エ!」
 ドスのきいたボイスは、なぜかミーにハイスクールでのヒエラルキーを思い出させマシタ! ハイッ、手短に言わせていただきマース! リード・ミー・トゥ・バックドアー・プリーズ!
 「ハア? テメエドコノ王様ダヨ? 売リ子モシタコトガネエトーシロニ貴重ナサクティケヲ渡セルワケネーダロ! 正面カラダラダラ歩イテ来ヤガレ!」
 サドンリー、突然電話は切れてしまいマシタ! きっとビッグ・サイトに固有の電波シチュエーションが原因にちがいありまセーン! それにしても、サクティケとは何なのデショウカ? サクリファイス・ティッツ? ユーギオー的な? 俺はこのたわわな双乳を生贄に捧げて、胸の貧しいアーク・ペドフィリアを召喚するゼ?
 そもそもイングリッシュ・ワードではなく、ライスを畑に植える作業、ソー・コールド「作付け」のことにリファーしていた可能性さえ否定できマセン! フロム・エンシェント・タイムス、古来よりジャパンではライスのアマウントが非常にインポータントなミーニングを持ち続けマシタ! コミケトーのバックドアーを使うには、イーチ・ファミリーのガーデンで栽培しているライスを持ってくる必要があったのかもしれまセーン! オーッ、日本の常識世界の非常識! 働かざるもの食う寝る遊ぶ! さすがはワールドに冠たるニート大国デース! ミーは文化の違いにソー・インプレスト、強い感銘を受けつつも、今回のミッションが想像以上に困難なものになることを感じていマシタ(弊社のプレジデントはシディアス卿そっくりのいけすかない野郎デス! アンリミテッド・パワー!)!
 ほどなくして、ギークスのウェイブはミーを建物のインサイドへと運んでいきマシタ! ビッグ・サイトの中は、イグザクトリー、ステイツのスラム街を思わせるアウト・ローぶりデス! 壁際でシットダウン(sit down)しているものもいれば、壁際でシットダウン(shit down)しているものもいマス! コミケトーへ参加するために仕事をジャックイン(jack in)したことを公然と自慢するものもいれば、土人誌を片手に公然とジャックオフ(jack off)するものもいマス! 各ブースに掲げられたポスターはクリスタニティをビリーブ・インしているなら、ビッグ・サイトごとヘルファイアに焼き尽くされることを望むほど冒涜的な図画で彩られていマス!
 その、サタニズム的な祝祭を体現する見かけとは裏腹に、ギークスたちはキューを乱さずに整然とならんでいるのデス! パスポートを持たないステイツのファンダメンタリストがこの会場を見たならば、あらゆるホーリーとアンホーリーが混在するありさまに、地上へヨハネのアポカリプスがアピアーしたと感じるかもしれマセン!
 ハウエバー、フランス系移民の息子であるミーにとってこの程度のエンタルテテ・クンスト(祖父はドイツ系移民デス! ラブ・グランパ!)、退廃芸術はパリの路地裏でエッフェル・タワーの先端を見ながらアルジェリアンにアヌスを突き出して言うファック・シルブプレ、昼下がりのコーヒーブレイクと何ら変わらない平穏なものデース! ミーはギークスどもを持ち前の体格でオーバーフェルムしながら、サメン・アッジーフのブースを目指しマシタ!
 バット、なかなか目的のブースを見つけることができマセン! シック・イン・ベッド、病床のリカが手を握るミーへ息も絶え絶えに、「これ……ダコバちゃんの……おっきなポスターにして……はってくれるって、そう、約そくしてくれたの……」と言いながらあずけてくれたイラストを元にブースを探すのデスガ、いっこうに見当たりマセン! ダコバのサークルはウォール・サークル(ウォール・マート? ウォール・ストリート? 意味不明デース!)なのでアット・ワンス、すぐに見つかると聞いていたのデスガ……
 イヤ、見つかりマシタ! 会場のウォール沿いへセグリゲートされたエリアに、リカからもらったイラストを発見したのデス! どうりで見つけにくかったはずデス! なぜなら――
 二枚の大判のポスターの下に、ひと回り以上小さなサイズで掲示されていたからだ。加えてテーブルの奥、山積みになった在庫の裏側へすっぽりと隠れてしまっており、よほど近くから注意深く見なければ気づかないだろう。段ボール製のつけ鼻を貼りつけるセロテープの下の皮膚にしりしりとしたかゆみが生じる。私は自分の気持ちが急速に冷えていくのを感じていた。地元のだんじり会を軽蔑し、地域の夏祭りを嫌悪する私も、コミケという場でならば祭りの一員になれるかもしれないと信じていた。しかし、待ち望んだ祭りの只中にあって私の胸を満たしているのは、一種の諦念と虚無感である。結局、私はこの人生において「いま」「この場所」に実在することを忌避し続けてきただけのことだったのか――
 オオップス! あぶなかったデース! あやうくオサム・ダザイ的なノー・イグジット、出口の無いデプレッションに引きこまれるところデシタ! 気を取り直していつものようにチアフルにいきマース! ハーイ、ディス・イズ・パイソン・ゲイ! ホエア・イズ・サメンサン?C80-1.jpg
 呼びかけに応じて、ウォールを背にしたテーブルの向こうから、ミドル・イースト風の容貌をした男が不機嫌そうにミーをギロリとゲイズしマシタ! その瞬間、ミーの背筋にはハイスクールでの理由なきヒエラルキーの感じと同じ種類の悪寒が走ったことを認めなくてはなりマセン! 口髭にターバン、イエローのアロハという正気をダウトするいでたちのこの男が、リカの言っていたサメン・アッジーフなのデス!
 サメンはショルダーズをアングリーさせて隣のブースを占拠するロトン・ガールズ、腐女子ども(これは注釈が必要デショウ! ステイツのゾンビムービーのように身体が腐っているわけではありマセン! 腐っているのはその性根の部分でアリ、精神そのものなのデス! 魯鈍ガールズ、デース!)を押しのけて出てくると、ミーに向けて両手をあわせマシタ! アンドゼン、「あら、アクバル?」みたいなことを言ったのデス!
 オーッ! ソレ、知ってマス、知っていマース! ミーはたちまちマイセルフがフルフェイスの笑顔になるのがわかりマシタ! ソウ、これはファースト・ガンダムからの引用に間違いありマセン! ミーはギークスとして試され、合格したのデース! ハートのボトムからハッピーな気持ちになったミーは、サメンのショルダーをバンバンどやしながら「アックバル兄サーン! アックバル兄サーン!」と連呼しマシタ! すると、サメンのフェイスはなぜかたちまち険しさをインクリースし、ミーはハイスクールでの理由なきヒエラルキーの感じをアゲイン、思い出しマシタ!
 サメンは再びロトン・ガールズをかきわけテーブルの裏側へと戻っていきマス! ミーは両手でアス・ホールをカバーしながら、サメンとミーを見てウケとかセメとか(ハレとかケのような民俗学用語に違いありマセン!)ひそひそ話をする魯鈍ガールズと視線を合わさないようにしてブースに入りマシタ!
 インサイドから見るとスーサイダルな狭さで、在庫のバレーに二人の売り子がひしめいていマス! 一人はエクストリーム猫背のヤングマンで、リアルをゲイズする時間よりもスマートフォンの画面をゲイズする時間の方が明らかに上回っていマシタ! 聞けば、このヤングマンもサメンのブースを間借りして土人誌を販売しているとのことデス! オーッ、フェローシップ・オブ・ザ・コミケトー! ホワッツ・ユア・ネイム?
 ミーの問いかけに、ヤングマンはコリア製のペドフィリアだかセクスフォビアだかいうスマートフォンから一秒も目を離さないまま、リプライしマシタ! そのボイスにはミュートとブラーがかかっており、ジャパン在住歴三十余年のミーにとって久しぶりにリスニング力を試される良いオポチュニティーとなったのデス! ヤングマンの名前はオットマン・ゲイリー、栄枯盛衰みたいな名前のマガズィーンに、ソワカ反吐みたいなタイトルのカートゥーンを連載しているとのことデス! ジャパンのコミック・アーティストの多さはルーモア、噂には聞いていマシタが、すでにこのシット狭いブースだけで漫画家占有率は50%を越えていマス! オーッ、まさに「狂うジャパン(ギーク・カルチャーを推進するガバメントの標語)」デスネ!
 そしてもう一人はシャドーの薄いカレッジ・ステューデントで、ティピカル・ジャパニーズがオーフンするところのネックをチルトさせるだけのインギン・ブレイなおじぎでレスポンドしてくれマシタ! 苦虫をイートしたような顔でサメンが言うには、このカレッジ・ステューデントがリカとダコバの土人誌をエディット、編集したとのことデス! オーッ、アナタが――
 漫画と小説の余白設定を勘違いし、文字密度の高い、極めて読みにくい紙面を作り上げた張本人なのか。生涯に一度とまで思い詰め、本業に影響を生じるほど睡眠時間を削った校正の一部を反映させないまま製本に出した張本人なのか。売れるほどに赤が膨らむ、採算度外視の同人誌を、家人に使途を明かせぬまま土下座して捻出した虎の子の金子による同人誌を、不満の残る形で世に出さざるを得ない状況を作った張本人なのか。段ボール製のつけ鼻を貼りつけるセロテープの下の皮膚にしりしりとしたかゆみが生じる。一瞬、板垣恵介の格闘漫画の如く顔面の中央が陥没するほど右拳をねじこんでやりたい衝動にかられたが、そうしなかったのは単純に怒りを諦念が上回っただけのこと。私の人生に馴染み深い、消極的な惰性による問題の回避だった。
 オオオップス! ステイツ・オブ・デプレッション・アゲイン! いまのは本当に危なかったデース! 気を取り直していつも通りチアフルにいきマショウ! ミーはエクストリーム愛想よくシャイシャイとハンドクラップしながら、「ヘイ、ボーイズ! ミーが来たからにはもうダイジョブヨー! 売って、売って、売りまくるネー!」とシャウトしマシタ! ハウエバー、返ってきたのはジャージャー・ビンクスを見るときの古参スターウォーズマニアと同じ中身の視線デシタ! ミーはたちまちマイセルフのフェイスがシリアスになるのを感じマシタ!
 オーッ、アウェイ! すさまじいアウェイ感デース! ミーはヘルプを求めてサメンを見マシタが、「オイ、ボサット突ッ立ッテンジャネエヨ。狭イブースニデクノボーヲ入レテオクスペースハネエンダ」とアンチ・ソーシャルなピクチャーの土人誌が山積みされているテーブルへとミーを激しくプッシュしたのデス!
 確かに、ミーに売り子の経験はありまセン! ハウエバー、ミーはガイシ(骸死)系企業にふきあれたリストラクチャリング・ストームを生来のチアフルネスのみで切り抜けたほどのガイなのデス! 売り子? プロバブリー、売女の親戚みたいなものに違いありまセン! ミーは肩幅に足を開くと、アスホールをワイドに構えマシタ! サア、ムカイ、どこからでもかかってきなサーイ! ミーの耳元では「帝王V!」の連呼が実際に聞こえるようデシタ!
 バット、マイセルフのチークにキアイの平手を打ちつけながら顔を上げると、そこには生気の欠落した目をしたリビングデッドの群れが、内臓疾患を疑わせる土気色をした無表情で棒立ちにスタンドしていたのデス! そして、ケイオスそのものの見かけといでたちをしたギークスが、整然とした二列のキューでコスモスそのものを体現するかのように並んでいるのデス! サド性向を持つデブ専ホモのネクロフィリアならば、あるいは両手をクラップして大喜びするかもしれない光景デス! ハウエバー、いずれの性癖にも該当しないミーはそのとき、ベジタリアンが人食い族の村をヴィジットしたとき感じるだろうディープでマッシブなカルチャー・ギャップに、マイセルフのアスホールがきゅっとシュリンクするのを感じていたのデシタ……!!


To be continued...







MMGF!~見て、みごとなガテン系のファックよ!~(在庫駄駄余解消祈念C80漫遊記・中編)

前回までのあらすじ:亀頭と包皮を結ぶ紐状の生体組織で、別名を陰茎小帯と言う。ボブは敏感なその部分を嫌がるマギーの口元へあてがった。「ウッ、むグッ」、キッと一文字に結ばれたピンクの唇をボブのうらすじが強引に割って――


 ミーがアスホールのイグジット(ロトン・ガールズにとってはエントランスでショウカ?lol)を引き締めると同時に、テーブル越しに立つ土気色をしたリビングデッドが、「なかいいですか?」と発話したのデス! ミーは一瞬、ソー・コンフューズド、何を尋ねられているのかわからず、ひどく混乱してしまいマシタ! 言語には文化的なギャップによって、シンプルなワードがまったく別の意味を持ってしまうケースがありマス! フォー・イグザンポー、例えばエクストリーム一般的な「持つ」という他動詞さえ、ジャパニーズとイングリッシュの間には違いがあるのデス! オブジェクトをラック、目的語を欠落させて自動詞的に用いた場合がソレに当たりマス! ジャパニーズで「持ってる」と表現すれば、それは運か才能を持っていることを意味しマス! オン・ジ・アザー・ハンド、一方イングリッシュで「ドゥー・ユー・ハブ?」と表現すれば、それはレリジャス、信仰の有無を訊いているのデス! 異国の地の、さらにコミケトーという異境では「なかいいですか?」という単純な問いかけにイエスと答えることが、実は肛門性愛へのアグリーメント、合意を表してしまう場合さえテイク・イントゥ・コンシダレーション、考慮に入れなくてはなりマセン! ミーのチークに緊張のあまり一筋のスウェット、汗が伝い落ちマス! 小売業のセラーがバイヤーにここまで追い詰められるなんて、ステイツでは考えられない事態デス!
 「カスタマー・イズ・ゴッド」が持つ真の意味をミーがペインフルに体感していると、隣にスタンドしていたサメンが「ア、ドゾドゾー、遠慮ナク見テッテ下サーイ」と陽気に返答しマシタ! そのアブノーマルなまでのインギンさは先ほどまでミーにスクール・カーストの存在をリマインド・オブさせていたのと同一人物とは思われないほどデス! ギークス風にエクスプレスするなら、「コイツら、自在にインギン力を変化させやがる」デス!
 サメンの言葉に応じて、眼前の土気色リビングデッドはゾンビらしからぬクイックネスで土人誌のパイルから一冊を取り上げると、しばしパラパラとコンテンツを確認しマシタ! アンドゼン、「ありがとうございました」 の言葉とともに、元のパイル上へ無造作に土人誌をスロー・バック、投げ戻したのデス!
 エクストリームリー・ショックト、ミーはデルビッシュ有、この悪魔的な慣習にひどく衝撃を受けマシタ! ミーは土人誌のオーサー、作者がファンへダイレクトに販売を行うという手弁当感がコミケトーの魅力だと考えていたのデスガ、いまミーの眼前で生じたフェノメノン、現象にはミーが想像していたようなハートフルさは少しも含まれていませんデシタ! 作り手のすぐ目の前で作品を品定めした後、その購入を好きにリジェクトできるというシステムは、ミーが奈良のカントリー・サイドで日々エクスペリエンスしているジャパニーズのバーチュ、美徳とはほど遠いものデス! フォー・インスタンス、例えるならばストリートにスタンディングする売女に、「膣内(なか)いいですか?」とアスクした後、背後で休憩中のオットマンがコリアのセクスペリアへしきりとするフィンガー・ジェスチャーで公衆の面前にその膣口をクパチーノしてからやはり買春しないことを大声で宣言するような、人倫を外れた背徳の仕組みデス!
 「他人のために最も怒れ」――ミーのファーザーは家訓としてそう言い続けてきマシタ! このときミーは、土人作家に与えられる侮辱に対して行き場の無い怒りを感じていたのデス! ところが義憤にかられるミーの隣でサメンはヘラヘラと愛想をふりまいていマス! ミドル・イーストではこのくらいのことは屈辱でも何でもないのかもしれマセン! 絶え間なく噴出するオイルに比べれば、しぼり出す妄想の価値など何ほどでも無いと思っているのかもしれマセン! イフ・ユー・ゴー・イントゥ・ゴー・オベイ・ゴー、郷に入っては郷に従え、ミーはとっさにジャパニーズ特有のベイグネスに満ちたスマイルを浮かべマシタ! その瞬間、これまでの三十余年で見てきたジャパニーズの曖昧な微笑みの裏にはサポージング、もしかしすると活火山のような憤怒があったのではないかと思い至って戦慄を覚えたのデス!
 ミーのインサイドでうずまく葛藤をよそに、土人誌のパイルはその高さをデクリースさせてゆきマス! アット・ラスト、ついにリカの土人誌のラスト・イシュー、最後の一冊が売れマシタ! ワオーッ! ソールド・アウト、ソールド・アウトデース! ミーは病室で言を左右し続けたリカがファイナリー、「あの……わたしは10さつくらいって言ったんだけど……ダコバちゃんが……ぜったいだいじょうぶだからって……あの……500さつ……」と大粒の涙をポロポロと流して告白したのを思い出していマシタ!
 「リカ、ダイジョーブ! ぜんぶミーにまかせるネー! ガイシ(骸死)系の営業部長の肩書きはダテじゃないヨー!」
 ミーの空約束に泣き笑いでうなずいたリカの消え入りそうな表情! リカの墓前にようやくいい報告ができマース!
 「オイ、ボサット突立ッテネエデ、ホンヲ追加シネエカ! マダ何箱モアルンダ! 早ク積マネエト、客ガ逃ゲチマウゼ!」
 両手を突き上げてディライトネス、歓喜の中にいるミーの背中へ険しい声が飛びマシタ! サメンがカッターで切り裂いた大きな箱の中には、みっしりとリカの土人誌が詰め込まれていたのデス! ダヨネー! ミーの鼻段ボールが湿気を増し、一瞬のデプレッションがとばりのように心へ降りかけマシタガ、ミーは一流選手が強い自己暗示によって失敗をノーマルの状態としてとらえるメンタル・スイッチング技術を利用しマシタ! ダヨネー、ミーやリカみたいにネットでの声は大きいくせにリアルではチキンで何の知名度も無い連中の土人誌が、いきなり500冊も売れるワケないヨネー! 鼻段ボールは乾き、両のマナコは濡れ、ミーはたちまち平常心を取り戻していマシタ!
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 ソウソウ! ミーのコミケトー来訪は、本社へのジャパニーズ・カルチャーに関するレポートを兼ねていたのデス! 土人誌の販売はゲストとしての片手間に過ぎないのデシタ! ケアフリー、注意深く観察を重ねると土人誌がうず高く積まれたテーブルには大きなビニル袋が貼りつけられていマス! リビングデッドが支払った紙幣はゴミクズをダストビンへするときと同じ所作で次々に放り込まれていきマス! ステイツにいた頃ならその様子を見ても何も感じなかったデショウ! それはジャパン在住歴三十余年でなければ感じなかったようなかすかな違和感デシタ! サドンリー、突然ミーのインサイド・ブレイン、脳内にいる栗色の髪をした新聞記者の女性が寿司屋のカウンターでいきおいよく立ち上がり、「お金なのにもらって捨てる動作が汚らしいのよ!」とシャウトし、ミーの違和感はアイスメルティング、氷解しマシタ! こんなふうにマネーが扱われるのを見たのは釜ヶ崎のチンチロ賭場でコンビニ袋へ紙くずのように丸められた札が詰め込まれるのを見たとき以来デス!
 「勝負が終わるまでァ、こんなナァ鼻ッ紙でもネェのサ」
 ミーは勝ち頭の労務者が酒焼けした鼻を手のひらですすりながらボヤく場面をまざまざと思いだしていマシタ! ジャパンではアニメはシーズン毎に大量生産されマス! それは本当にサプライジングなクアンティティで生産され、この国ではアニメは湯水以下の価値でマーケットに供給され続けるのデス! ジャパニーズのブルーワーカーにとってアニメは日常の退屈をまぎらわすための、ハシシより安価で手軽なドラッグの一種なのデス! ジャパンの土人誌オーサーたちは無数のアニメからそのシーズンのヘゲモニー・アニメ(訳者註:ヘゲモニーとは覇権の意味だが、アニメを修飾する語としては不適切。誤字か?)がどれになるかをチョイスしマス! そのチョイス次第で土人誌の売上は一桁ほど変わってくるのデス! 土人誌オーサーたちにとって土人誌メイクは、釜ヶ崎の労務者と同じギャンブルなのかもしれマセン! だとすれば、売上の確定するコミケ三日目の終了時まではマネーを紙クズのように扱うのは至極当然と言えマース!
 サドンリー、ミーは土人誌のプライス設定が五百円刻みであることをファインドしマシタ! ジャパンは生活必需品にまでタックスを課すことで有名なエコノミック・アニマル・ガバメントを有していマス! フォリナーにとっては、コンビニでスモール・チェンジを要求されるのは実にイリテイティング、イライラさせられる体験デス! 土人誌のコンサンプション・タックスはどこで課されるのデショウカ?
 「ヘイ、サメン! 土人誌のタックスの仕組みはどうなっていマスカ? それともコミケはエアポートのようにデューティ・フリーなのデスカ?」
 ミーが持ち前のボトムレス、底抜けな素朴さで尋ねると、とたんにサメンは満面の笑顔を浮かべマシタ! 次の瞬間、眉間で火花がスパークし、ミーの意識はダークネスへとフォールしていったのデス! 
 テン・ミニッツ・レイター、鼻に血のにじんだティッシュを挿し込み、すべての疑問をオブリビオン、忘却の彼方へと消し去ったミーの元気な青タン姿がそこにありマシタ!
 疑問を封じるというのはブレイン・ウォッシュのファースト・ステップ、第一歩デス! ミーはいまや1984年のようなマナコで売り子ワークへ従事していマシタ!
 「ヘイ、テメエニ客ガ来テルゼ」
 苦虫を噛み潰したようなフェイスでサメンがミーに言いマス! まるで日雇い労働者にトイレ休憩さえやりたくない現場監督みたいデス! ロトン・ガールズの間へ身をねじこんでブースの外へ出ると、そこにはニット帽を目深にウェアした青年が思いつめた表情でスタンディングしていマシタ!
 「小鳥猊下ですよね! ぼくです、ポロリです!」
 フー・アー・ユー? バット、ザ・モーメント・ヒー・セッド、言うや否や、青年は抱きつかんばかりのディスタンスにまで間合いを詰めてきマシタ! ステイツやヨーロッパに在住する狩猟ピープルは他人と世界に対して深い猜疑心を抱いていマス! 初対面での過剰になれなれしいビヘイビアーはジャパニーズ特有で、それは基本的に他人と世界が自分に危害を加えないことを信頼する農耕ピープルのものデス! ミーはたちまち警戒心をマキシマム・レベルにインクリースさせマス!
 エスペシャリー、特にミーの出身であるステイツでは、パブリック・プレイスでニット帽をかぶったりマスクをしたりするのは、心に後ろ暗い部分を持っていることの表明、変質者の証デス! 公然とニット帽をかぶりマスクをするのは、ステイツではマイケル・ジャクソンくらいしかいマセン!
 「本当に感激です、猊下とお会いできて」
 クネクネと両腕をもみしぼりながら熱狂に目を潤ませるポロリの様子は、インギンな語り口とあいまって、ノンケでも喰っちまう、決してヘテロではない感じを濃く醸しだしていマス! バット、セクシャルなテンデンシーだけではない、メンタルに潜むディズィーズを、ミーはこの青年のうちに見出していマシタ!
 「オーッ、イグザクトリー、その通りヨー! ミーが小鳥猊下ネー!」
 ミーは内面に生じたさざなみをハイドするスマイルを浮かべて大げさに青年の問いかけを肯定しマシタ! トゥ・テル・ザ・トゥルース、小鳥猊下はミーとリカとのユニット名なのでいささかアキュレイシー、正確さをラックした返答デシタガ、この種のメンタルヘルス青年はいったん思い込んだ情報を外部からコレクトされると途端にアプセット、逆上するという傾向がありマス! ミーは適当にあいづちをうつことで穏便にこの場を切り抜けることにしマシタ! バット、メンタルポロリはミーにアクセプトされたと思ったのか、とたんに饒舌に語り始めマシタ!
 「猊下の文章すごい好きなんですけど、今回のMMGF!ですか、あれはぜんぜん感心しなかったな。なんか説明がくどくて、八十年代のラノベみたいで。もっともっと説明を減らさなくちゃ。物語なんだから」
 同心円状のクレイジーを記号化した目で一方的にまくしたてながら、メンタルポロリはじりじりとミーとの間合いを詰めてきマシタ! それぞれの民族は、適正な文化的距離というものを持っていマス! どこまで接近されると不安感や不快感をいだくかというのは、イーチ・カルチャー、文化ごとに異なっているのデス! ジェネラリー・スピーキング、一般的に言って北米出身のミーは日本出身のメンタルポロリより近い位置までのアプローチをアラウ、許容できるはずデス! ハウエバー、メンタルポロリのアプローチはミーを不安にさせるほど近かったのデス!
 不安感に耐えかねてミーがわずかに下がると、メンタルポロリはミーが下がった分だけ間合いを詰めてきマス! ミーは長大なコリダー、廊下をラテン民族に握手を求められた北欧民族が延々とリトリート、後退していくというあのジョークを思い出していマシタ! ファイナリー、気がつけばミーは壁ぎわへと追いつめられていマシタ! メンタルポロリはスティル、まだじりじりと間合いを詰めることをやめマセン!
 「あ、でもこないだのオフレポはすごい面白かったです。ジュブナイルやるなら、あの文体で書けばいいのに。なんでああいうふうに書かないんですか」
 内容のルードさを除けば穏やかな語り口デスガ、狂気と正気の間にあるのはア・シート・オブ・ペイパーだと言いマス! ミーのアスホールが恐怖にきゅっとシュリンクしマシタ! 北米出身のビッグなミーが、日本出身のスモールゲイ(訳者註:ガイの誤字か?)に追いつめられ、いまや貞操の危機さえ感じているのデス!
 「あの、小鳥猊下でいらっしゃいますか?」
 ミーの危機をレスキューしたのは、やはりインギンな口調の声かけデシタ! 中肉中背でグラッスィーズをウェアしたその男は、ティピカルなジャパニーズビジネスマンといった様子デス! カンパニーにエンプロイされているという事実は一定のサニティを保証しマス! ミーは不自然にならないよう注意しながらメンタルポロリをかわして、ビジネスマンにシェイクハンドの右手を差し出しマシタ!
 「オー、イエス! アイアムゲイカコトリ、ネー! ウェルカム・トゥ・マイブース!」
 ジャパン在住暦三十余年のミーはフルーエントなイングリッシュでリプライしながらネームカードを取り出しマス!
 「わ、わたくし、キムラと申します。えっと、あの、そ、そうだったんですか」
 アルファベットの並んだネームカードとミーの鼻段ボールへ交互に視線をやりながら、キムラはあきらかな挙動不審のステイトに陥っていきマシタ! 知ってマス、これ知ってマース! ジャパニーズに特有のフォリナー、外人に対するこのレスポンスは実は珍しいことではありマセン! ワールド・ウォー・トゥーで連合軍へノー・パーフェクト・スキン、完膚なきまでにたたきのめされてからこちら、ジャパンは深刻なフォリナー・フォビア、ガイジン恐怖症に罹患しているのデス! エンド・オブ・ウォーからモアザン半世紀、ノウ、時間が経過すればするほどオールモスト遺伝的な情報としてジャパニーズのインサイドにフォリナー・フォビアは書き込まれていっているようデス! そのモスト典型的な症状が、いまのキムラが見せている状態デス! ゴールデン・ヘアー・グリーン・アイのイングリッシュ・ユーザーであるミーに、理由もなくあからさまな気後れを表していマス! もはやこれは高所やコックローチへの恐怖にも似て、本能のレベルにまで昇華されていると言っても過言ではないデショウ! アンド、ジャパニーズのこのフォビアはジャパンに学歴も能力も低いフォリナーがライク・モス、蛾のように集まってくる理由にもなっていマス! なぜって、マザー・タン、母国語の読み書きができるだけで現人神のように崇められ、本国で従事する単純労働よりはるかにましなペイメントが期待できるカラデス! ジャパンは実のところ、不良ガイジンの格好のプール、溜まり場になっていマス! ジャパニーズだけがそれに気づいていマセン! オフ・コース、ミーはエグゼクティブなので違いますヨー!
 「ヘーイ、キムラ! ウェイク・アップ! ソレはジョーク名刺ネー!」
 フォリナー・フォビアに思考を奪われた状態になっているキムラの目の前でミーは親指と人差し指を数回スナップさせマシタ! イン・ファクト、キムラに渡したネームカードはジャパンの商習慣にあわせたカムフラージュ、記載された情報はすべてデタラメなものデス! ステイツ生まれでパリ育ちのミーは、コミケトーのような反社会的プレイスでマイセルフのプライベート・インフォメーションを開示するほどピース・ボケしてはいないのデス! 路上でチュニジアンに話しかけられてもインギンな返答をしながらも決して足は止めないといったような生得の警戒心、ワールドへのディープな猜疑心を処世のネセシティ、必須として持ちあわせているのデス!
 ハウエバー、ミーのような毛唐ピープルに特有のディフェンシブなスマイルも、ベーシカリー異質の存在しないジャパニーズ・カルチャーで生育してきたキムラにとって、緊張をメルトさせるに充分なものだったようデス! キムラはオールレディ、すでにリカの土人誌を購入しており、ミーは会話の糸口として感想を尋ねることにしマシタ! ミーはそれをすぐに後悔することになりマス! なぜなら――
 木村裕之は私の問いかけに対して、購入したばかりなのでまだ読んでいないと答えたからだ。今回の同人誌はネットで大部分を先行して公開し、その完結編を収録するという手順を経ている。初めての同人誌販売であるから、少しでも売上を伸ばしたいという苦肉の策だ。その旨を伝え、さらに木村裕之に問い詰めると、わざとらしくページを繰りながら「え」とか「あ」とか母音を繰り返すだけの状態になった。夏のコミケを目指して一月から更新を行なっていたから、木村裕之は少なくとも半年は私のホームページを閲覧していない計算になる。十年来のファンと称し、わざわざコミケのブースに足を運ぼうと思う人間でさえ、こうなのだ。最も熱心なファン層でさえ、この程度の執着なのだ。段ボール製のつけ鼻を貼りつけるセロテープの下の皮膚にしりしりとしたかゆみが生じる。私は自分の気持ちが急速に冷えていくのを感じていた。いつまで経っても商業に回収されない最古参のテキストサイト運営者が、完全な持ち出しで苦手分野に媚びた同人誌を作成したところで、彼が望む深さの受け手は世界中のどこにもいないのだ――
 オオオオオップス! ワーニング、ワーニング! 我、まさにフォール・イントゥ・デプレッションせんとス! コミケトーはフル・オブ・トラップ、罠がいっぱいデス!
 「ヘーイ、ポロリー、キムラハヒドイヤツネー! ナントカ言ッテヤッテヨー!」
 深刻なアンガーをジョークにまぎらわせようとして話をふると、ミーとキムラのチアフル・トークの横でメンタルポロリはそわそわと、あからさまに挙動不審のステイトに陥っていマシタ!
 「ヘーイ、ポロリサーン、ドウシタノ? 顔色悪イヨ?」
 ミーのジェントルな声かけにメンタルポロリはビクリと肩を震わせると、深夜の空き地でのレイプ未遂を通行人にファインドされたような顔をしマシタ! 「じ、じゃあ、ボクはこのへんで」と小声の早口で言い、さっきまでの執拗なインファイトぶりはどこへやら、アウトボクサーのステップで会場の人ごみへまぎれ去っていこうとしマス!
 ホワット・ア・カワード! これはジャパニーズに特有の神経症、タイジン・キョウフショウ・シンプトムの表れデショウカ! ミーは持ち前のヒロイック、英雄的な気質を前面にプッシュして、メンタルポロリを引き止めると、ふたりにセルフ・イントロデュースをうながしマシタ!
 「ヘイ、ポロリ、キムラ! キムラ、ポロリ!」
 ミーのジェネラスなスマイルにうながされて、ふたりはようやく鏡あわせのように後頭部へ手をやりながら互いに会釈をしマシタ! 人間関係こそが仕事にとって最大のキャピタル、資本であることをモットーとするミーはその様子にグラティフィケーション、強い満足感を得ていマシタ! バット、このときのディシィジョン、決断をミーは後になって死ぬほどにレグレット、後悔することになるのデス! なぜなら――
 後日、仲介者である私を抜きにして、この二人が急速に親交を深める様をツイッター上で発見することになるからだ。二人で飲みに行き、すっかり意気投合したらしい。おまけに、互いのビジネスにとって互いが有益な関係であることを確認したようだ。もちろんコミケ後、この二人から私への音信は全く途絶えていた。私はそのやりとりを半ば呆然と眺めながら、分厚いガラス越しにヒロインが悪漢にレイプされるのを見せつけられている主人公のような気持ちになった。エッフェル塔を見ながらのファック・シルブプレにチュニジア人が乱入し、下半身を露出した私を差し置いてアルジェリア人とよろしく始めてしまったのを指をくわえて眺めるような感じ。正に、慟哭ゲーである。段ボール製のつけ鼻を貼りつけるセロテープの下の皮膚にしりしりとしたかゆみが――
 ウオァァァァァッ! レポートのくせにクロノロジカル・オーダー、時系列がめちゃくちゃデス! そんな未来のことを現在のミーが知る由もありマセン! イフ知っていたらいま気弱げに会釈を交わすふたりの後頭部をわしづかみにして二つの頭が一つになるほど打ちつけた後、持ち前の体格を利用した地獄レスリングで金輪際アリアケでコミケトーが開催できなくなるほどの陰惨な流血ショーを演じたに違いありマセンカラ!
 ふたりが作成したという土人ソフト(訳者註:softの表記。土人誌の一種か)をスーベニア、みやげに受け取りながら、このときのミーの胸中はブッディズムのハイプリーストほどかくやというほどに穏やかデシタ!
 グリーティングを済ませた後も二人はサプライジングリー寡弁で、ミーの提供するトピックが少しもデベロップしマセン! これはさらなるアイスブレイキングが必要デス! インファントとさえ小一時間はカンバセーションを継続できるコミュニケーション力を使って、ミーは場をウォームしていきマス! 人と人との間に通底するのは不信だと考えているミーのようなフォリナーが、人と人との間に通底するのは信頼だと考えているジャパニーズより、こういった際のスキルに長けているのは実に示唆的デスネ!
 グラデュアリー、次第に緊張がほどけると、二人ともミーのことを絶賛しはじめマシタ! アンド、どちらがより多く小鳥猊下を褒め称えることができるかのコンテストの如き様相を場は呈していきマス! 知らぬがブッダ、やがて訪れる未来を未だ知らない愚かなミーは、まんざらでもないとスモール・ノーズ、小鼻を膨らませて悦に入っていたのデス!
 二人に関する断片化したインフォメーションをミーの高機能ブレインでデフラグしたところ、ポロリは年齢制限の必要なダウンロード専売ゲームのシナリオを、キムラはソーシャル・ゲーム(奇妙なネーミングデス! ソーシャル・ウィンドウ?lol)の製作をプロフェッション、生業にしているとのことデス! オーッ、これはリカを売り込むチャンスデース! キムラサーン、ポロリサーン、ユーたちがスロートからハンドが出るほど欲しがっている人材をミーは知っているネー!
 「え、いや、それはちょっと」
 先ほどまでの調子のいいほめ殺しぶりはどこへやら、キムラはとたんに口ごもりマシタ! アンドゼン、メンタルポロリが目深にかぶったニット帽の下からジットリとミーを見上げながら、唇の端を歪めて言いマシタ!
 「いや、そこはほら、わかりましょうよ。キムラさん、困ってるじゃないですか。仕事なんだから、やっぱり実績が無い人にはお願いしにくいですよ」
 アウッ、ポロリのインギンな低姿勢はオール子羊のパフォーマンスだったのデス! その表情には、既得権を持つ者の優越が隠しようもなくにじんでいマシタ! 先ほどまでのぎくしゃくとした関係はどこへやら、キムラとポロリは互いに顔を見あわせてニヤリと、長年の共犯者のスマイルを笑ったのデス!
 オーッ、ジャパニーズ・コマーシャル・カスタム、日本の商習慣は文筆のようなエリアにまで及んでいたのデス! ミーはデザインのフィールドに関わるガイシ(骸死)系企業にいマスガ、過去の実績の有無がデザイナーの採用に最も大きく影響を与える日本の商習慣がリセッション、不況によりエンフォースされて新人の食いこむ隙間が無くなっているのデス! 実績によるリスクの回避というエントリー・バリアー、参入障壁がデザイナーの平均年齢を高齢化させた結果、既得権の維持がいまや業界そのもののシュリンクへとつながっていマス! シリアスな不況による相対的な発注量のリダクションが、最もクリエイティブの必要とされるはずのフィールドでカンパニーとそのデザイナーたちにビューロクラティック、官僚的なふるまいをさせている状況に、営業担当のミーはいささかの滑稽さを感じていたところデシタ!
 アンドゼン、高い識字率を誇るジャパンにおいては同じ理由がファー・レス・クリエイティブな文筆産業に従事する者たちにさえ、アンコンシャス、無意識のうちに官僚的なアグリー・スマイルを浮かべさせているのデス! 高度成長のみを前提にしてきた日本経済の歪みを目の当たりにし、そのダーク・アビス、薄暗い深淵にミーは心底からスケアード、ゾッとさせられたのデシタ!
 ミーはサドンリー、突然ふたりにフェアウェルを告げなければならない気分になりマシタ! オフ・コース、ブース越しにミーたちへ向けられるサメンの視線が中東でテラーのプランニングをしていたときのように険しくなり始めたこととは全く関係がありマセン! ミーに対する先ほどまでの陰湿な共謀ぶりはどこへやら、ミーとのカンバセーションが終わってしまうことを二人はひどく残念がりマシタ! ポロリが熱に浮かされたように言いマス!
 「ボク、実家が関西なんです。猊下も関西に住んでらっしゃるんですよね。年内は仕事で難しいですけど、年明けに帰省する予定なんで、そのときは必ず連絡します!」
 「オーッ、モチロンネー! マタ会エルノヲ楽シミニシテルヨー!」
 イメディエットリー、即座にミーはその申し出を快諾しマシタ! ネット上では気難しいキャラ作りデスガ、その様をフィクショナル・ダイアリー、虚構日記と称しているのだからリアルのミーが話し好きで気さくなパーソナリティであることは容易に推測できるデショウ! このとき、ミーは求められる快楽にすっかり上機嫌デシタ! ビコーズ、この段階では桜が散り始める時期になってもアポイントどころか連絡のひとつも無いなんて思いもよらなかったカラデス!
 ポロリに負けじと、リーマンヘアーのキムラが新人研修で秋葉原の通行人に自己紹介をしていたときのようなシャウトをしマス!
 「必ず感想書きますから! 必ず!」
 この男、失地を挽回しようと必死デース! コミケトー終了からワン・ウィーク・アフター、サラリーマンらしいデッドラインへの誠実さでキムラはリカの土人誌の感想を送ってきマシタ! この男のビジネスが成功することをミーは確信していマス! リーセントリー、ツイッターをななめ読みするに、最近のキムラはシェアハウスとやらにハマッているようデス! 独身のヤングマンが集まり、地縁的つながりのロストしたアーバンシティで新たなコミュニティをクリエイトする試みデス! ハウエバー、それを読んだとき、ミーのヘッドにはクエスチョンマークが乱舞しマシタ! 婚姻と育児を前提とせずにそれは持続的なコミュニティと呼べるのデショウカ? 宗教を前提としないコミュニティにはジャパン在住歴三十余年でようやく慣れたつもりデシタガ、あいかわらずジャパニーズ・カルチャーは世界の最先端を独走していマスネ!


 ブースに戻ったミーがシット暑いブースで土人誌をリビングデッドに手渡すライン工に再び従事していると「オイ、マタオマエニ客ダ」、サメンが実に苦々しげな表情を浮かべて、ブースの外へ出るようミーをアゴで促しマシタ! ゲストとして来場したはずなのにサメンはミーのことを時間給のレイバー、労働者としてとらえ始めているようデス! ミーをブースの外へやることで時間あたりの労働対価がインクリースすると本気で考えているキャピタリスト、資本家のように見えマシタ!
 ミーは生来のオプティミストなので先ほどの憂鬱な自称ファンどもとのやりとりはオールレディ意識のアウトサイドにあり、オールモストうきうきとした気持ちデシタ! ガイシ(骸死)系企業の営業部長であるミーは、人と会って話をすることがスリー・ミールズ・ア・デイ、三度の飯より大好きなのデス! イン・アディション、リカのファンには女性が多いと聞いていマシタ! 野郎が二回も続いたのデス! スタティスティクス、統計的に判断して、今度こそ女性に違いありマセン!
 シュア・イナフ、まるで白魚で作った魚肉ソーセージのような指にリカの土人誌を抱えて立っていたのは、はたしてジャパン・ギークスの完全なる中央値で形成されたティピカルなおたく野郎デシタ! シィット、アゲイン! ミーは心の底からのディスアポイントメントを完全にシール、秘し隠して「アー、ヨク来テクレマシタネー、アリガトー、スゴイウレシイナー、ヨロシクネー」と張りのあるバリトンボイスで歓待しマシタ!
 「いやー、これは思いつかなかったなー。すごいデブの中年おたくか、すごい引きこもりのウラナリか、すごい深窓の美少女かのどれかとは思ってたけど、こんな人を殴りそうなタイプだとは夢にも思わなかったなー」
 視聴中のアニメをタイムラインで実況するときのような、出すべきではない心の声をあらわにしてそのギークは自己完結的に発話しマシタ! エスペシャリー、美少女の下りでは言いながら自分の言葉に失笑しやがったのデス! ミーは表面上、あくまでポライトネスをキープしましたが、こめかみには血管のクロスが青く浮かんでいたはずデス!
 「あ、いや、わたしですか。ゴトウと申します。いやー、それにしてもほんと意外だったなー、これは」
 そう、このギークスのティピカル中央値こそあの、独身おたくの自虐ネタで一世を風靡し、いまや数千万のアクセス数を叩きだす有名人気ホームページの管理人なのデス! ミーはシェイクハンドのために右手を差し出しながら、「十年前、ホームページを開設したばかりのユーからリンクの依頼をされたことをリメンバーしてマス! あれをアクセプトしなかったのは、ミーのネット人生の中でも最大のリグレットのひとつネー!」 努めて陽気な社交辞令として発話したつもりデシタ! しかし――
 いったん口にすると改めて自分がそのことをひどく後悔している事実に気付かされてしまった。聞けば、ゴトウ氏はパソコン関連の商業誌に愉快なおたく4コマ漫画を連載しており、近々単行本化される見込みだと言う。それに引き換え、我が身がひねり出す文章は未だに一文にもならない、誰からも顧みられない、ネット上のアーカイブにのみしんしんと蓄積されていくクラップに過ぎないのだ。
 あのとき、この男と相互リンクの関係を築いておきさえすれば、こんな惨めな現在ではなかったかもしれないのに! 深刻な後悔が後から後からやってきて、私のひざがしらをふるわせた。
 「いやー、あの頃のテキストサイトの管理人たち、みんな有名になっちゃいましたからねー。☓☓☓さんとか、○○○さんとか……」
 そう、一見は平等な参加を約束しておきながら、本当に才覚のある者たちはネットの外から見出され、あるいは自分の力でテキストサイトという過渡期的なカテゴリを離れていった。
 この十年というもの、私は現実での立場を作るために時間を使いすぎた。小鳥猊下という名前のもう一人の私は、日々の生活の中でより重要ではない一隅へ追いやられ、その存在を希薄化していった。
 自分のことを「透明な存在」と評したのは、いったい誰だったろう。いま、小鳥猊下としてここに立っている私は、本当に何者でもない、透明な存在だった。
 「いやー、ぼくなんか全然っすよ。△△△さんとか覚えてます? あの人、もう成功しすぎちゃって……」
 どの業界でも、成功者ほど腰が低い。ゴトウ氏が低姿勢でへりくだればへりくだるほど、傲慢を売りにしてきた私は結局のところ、自分の非才を認められないがゆえにそうしてきたことへ気づかされる。私はネットに出自を持つ偉大な成功者の一人を前にして、恥ずかしさに耳朶が染まるのを感じた。
 「でも、本当に書いてないんですか? どこにも?」
 商業誌など、金銭の発生する場で文章を発表しているかどうかという意味の問いだろう。もちろん、書いていない。もし書いていれば、コミケで持ち出しの同人誌を販売などするはずがない。本当に他意なく、不思議そうに聞いてくるその様子がかえってグサリと胸に刺さった。私は視線をそらしながら、口元をひきつらせて「書いてません」とだけ答えた。声がかすれないようにするのに必死だった。耳に届いた自分の言葉が、自分の心を切り裂く音を確かに聞いた。
 「いやー、信じられないなー。本当かなー」
 腕組みをしながら、愛嬌のあるいたずらっぽい視線で見つめてくる。悪意はないのだろう。しかしいまや私は動揺を見透かされないよう、わずかに首を横へ振るのが精一杯だった。
 ゴトウ氏と私の間に横たわっている目に見えない何か。これが、これこそが、格なのだ。十年経っても数十万ヒットそこそこのサイトと、数千万ヒットを軽々と越えていくサイトの違いなのだ。一流ホームページと二流ホームページの違いなのだ。誰が見ても明らかな、圧倒的ヒエラルキーなのだ。
 ずたずたの自尊心は、私に思わぬ言葉を口走らせた。
 「あの、百万ヒットを達成したら、サイトを閉鎖しようと思ってます」
 この瞬間ゴトウ氏の顔に浮かんだ、困惑と嘲笑と憐憫が入り混じった表情を私は一生忘れないだろう。きちがいを見る視線と、あざけりに半笑いの口元を、とまどいが結びつけた表情だった。
 「はあ? いまは2011年ですよ? まだアクセス数とか言ってんですか?」
 それは童貞を捨てた者が、童貞にコンプレックスを抱く誰かにかける言葉と似た響きを持っていた。手に入れば、価値を無くしてしまう何か。そして、それを焦げるように求める誰かがいることへの想像力は永久に失われる。
 私はもう恥ずかしさに死にそうになって、ゴトウ氏から自分の同人誌を取り上げて、有明の海へ投げ捨ててしまいたいような気持ちに駆られた。ただ、表紙に描かれたイラストがそれを止めた。自分を貶めるのはいい。だが、このイラストを描いてくれた人を貶めてはいけない。
 それが、私にかろうじて矜持を保たせた。


 そこからどうやってブースに戻ったのかはよく覚えていない。
 何度も出入りしてんじゃねえよ。ブースに戻る際、フリルのついた服を着た三十がらみの女性たちが嫌悪に満ちた視線を私へ投げたのはわかった。
 「おう、遅かったじゃねえか」
 中東出身の――いや、この男は服装こそ少々奇抜だが、ただ彫りの深いだけで外人ではない。猫背の青年と眼鏡をかけた大学生がちらりとこちらを見る。特に何の感情も伴っていない視線だった。コミケが終わりさえすれば二度と会うこともない人物に、どんな気持ちも抱きようがない。たとえば、旅先の電車で隣に座った誰か。人の中にいるがゆえのあの孤独が、胸へ迫る。私は曖昧に微笑むと二人に、 「売り子、かわりますよ」と言ってテーブルの前に立った。
 「なかいいですか」「ええ、どうぞ」――それにしても暑い。
 単調なやりとりを繰り返すうち、昔なじんだあの感覚が身内に戻ってくるのがわかった。背後から、もうひとりの私が私を見下ろしている感じ。機械のように日常のルーチンを繰り返すうち、自分という主体が消えてなくなる、あの感じ。
 頭皮から伝い落ちた汗が、鼻に貼りつけた段ボールへ浸潤していく。頭の芯がぼうっとして、天と地の場所ももうわからないのに、釣り銭をわたす作業が少しも滞らないのを不思議な気持ちで眺めた。
 周囲で歓声が上がり、拍手の音が鳴り響く。その騒ぎで、私はようやく我に帰った。どうやら終了の時間が来たらしい。待ち構えていたかのように会場に小さなトラックが入って来、椅子と長机を積み込んでいく。
 はやくも祭りの後の寂しさが漂いはじめ、鼻の奥がつんとする。
 ああ、まただ。いまを楽しむということを拒否し続けてきた私は、終わりの瞬間にいつもそれを後悔する。楽しむことで、愛することでより大きくなる喪失が怖いのだ。
 こうして、私のコミケ初参加は幕を閉じた。


 鼻腔をくすぐる風に塩気を感じるのは、海が近いせいか。縁石に腰掛け、来場者たちが三々五々、帰路につく様子を眺める。同人誌のたくさん詰まった荷物を手に、彼らの表情からは幸福感と満足感が伝わってくる。
 結局のところ、私はあちら側の人間でもこちら側の人間でもないのだ。残ったのは疲労感と、在庫の山。私は両手に顔をうずめた。家人にどう借金の言い訳をしよう。私の心には、明日から再びはじまる終わりのない日常がすでに忍びよっていた。
 「ここにいたのかよ」
 彫りの深い男が座っている私に声をかけた。
 「知り合いの編集にもおまえのホン、何冊かさばいといたぜ。まあ、ヤツら、読みゃしねえんだがな」
 言いながら、豪放に笑う。やめてくれ。鼻に貼りつけた段ボールは汗と湿気を含んで変色し重くなり、セロテープは端から剥がれ始めている。
 返事もしないまま力なくうつむく私に、男はあきれたふうだ。
 「なんだ、在庫のこと気にしてんのかよ。ハハ、尻に敷かれてやがんな。俺も人のことは言えねえがよ」
 ペットボトルを傾けながらの優しい軽口。もう、やめてくれ。私にそんな価値は無いんだ。
 「心配すんな。俺たちのコミケはまだ終わっちゃいないぜ。あれを見ろよ」
 私はのろのろと顔を上げる。そのとき、一陣の海風が強く吹き、濡れた鼻段ボールを一瞬のうちに乾かした。そこには果たして――
 グルーサム、陰惨な風貌の男たちが五人、ロード・オブ・ザ・リングに登場するナズグルのようなたたずまいで路上にギャザリング、蝟集していマシタ!
 「オレノ知リ合イノエロ漫画家連中ダヨ。コノ後、コミケノ“打チ上ゲ”ニ“ヤカタブネ”デナイトクルージングッテ趣向ダ」
 打チ上ゲ? 割礼済みの下半身をエクスポーズしながらロケット状のサムシングに縛られたミーの周囲を、黒い肌をした土人がファイヤーダンスで取り巻くビジュアルが一瞬脳裏をよぎりマシタ! コミケトーの終了後に行われるセレモニーの一種らしいことは理解できマシタガ、それにしても、ヤカタブゥネとは何デショウカ? ジャパンにおいてヤカタとは血縁関係で結ばれた集団のリーダーを表していマス! そしてブゥネとはオフコース、あの大悪魔にして地獄の軍団を率いるデューク、ソロモンの魔神の一柱を示しているのに違いありマセン!
 「イッタン乗セチマエバ、二時間ハ逃ゲラレネエ。アトハオマエノウデ次第ジャネエカ。サバイチマエヨ……在庫ヲ……アイツラニナ……!!」
 中東出身のサメンの顔には、偃月刀を片手に洞窟で仲間とテラーの計画を練っていたときにそうだったろうと思わせる、歯を剥き出しにした凄絶な笑みが浮かんでいマシタ! ファウストを誘惑するメフィストフェレスが如く、ミーが破滅を宣言するのを待っているかのようデス! エターニティとイコールのサイレンスが流れ、ミーはスローリー、ゆっくりと、それがディステニーだったかのようにサメンへうなづき返しマシタ! 
 「ソウ来ルト思ッタゼ。売リ子ダケヤッテ、トットト帰ロウナンテタマジャネエッテナ! ココカラガ本当ノコミケッテワケダ!」
 夏の夕空に響き渡るサメンの哄笑を聞きながら、ミーは武者震いにマイセルフのアスホールがきゅっとシュリンクする音を確かに聞いたのデシタ……!!


To be continued...